カブキ凱旋試合に来なかったじじぃ

その日は、後楽園ホールで、全日本プロレスの試合があった。
初めての馬場さん不在のシリーズ。
そして、高千穂明久のザ・グレート・カブキの初来日試合もあった。
カブキは当時はフリッツ・フォン・エリックのテリトリーをメインに活動していて、テレビ東京の世界のプロレスでその試合も見ていた。
世界のプロレスで知られたのは、カブキにマジック・ドラゴンにザ・ロードウォーリアーズだったなぁ。

テレ東の番組で知識あったから、俺は楽しみにして、プロレスサークルの友達のKと後輩のフレを誘った。
フレは行きます、と言ったが、Kは断ってきた。だから俺は新宿の京王百貨店のプレイガイドで、リングサイドを2枚購入した。

この日のカブキの対戦相手はジム・デュラン。極悪仕掛け人。
Aクラスのレスラーではない。だから、試合には大して期待はしてなかった。
そんな中、会場の灯が消えた。
そして、鼓の音が。ヤンキーステーション。
スポットライトの中、連獅子のカブキが入場して来る。
リング上で面を外すと、隈取りした顔。
身体には鎖帷子。
ダブルヌンチャクを振り回すパフォーマンス。
そして、毒霧を吐いた。
会場はこの入場パフォーマンスで、大盛り上がり。この瞬間、カブキの逆輸入は大成功したのだ。
試合はジム・デュラン相手だから、そんな大した内容では無かった。
トラースキックからの正拳突きで、カブキのピンフォール勝ちだった。
だが、客は大満足していた。

俺とフレは、この興奮のまま、Kの家に泊まりに行った。
俺たちはこの日の試合の事を話し、Kに何で来なかった?絶対損したぞ。と語った。
全日本プロレス中継で、その日の試合を見て、Kは行けば良かったと後悔していたなぁ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?