特撮映画に出た話

大学時代の話である。
確か3年生の時だったかな?
友人のTから、今度映画を撮るけど、出てくれないかと話しかけられた。
そして絵コンテを見せられた。
冒頭で、UFOが出現してそれを追いかけた自衛隊機が撃墜されるシーン。
そして、本編。
女の子に振られまくるが、めげずに女の子口説きまくる男。
彼が友人と大学の敷地内を歩いている。
すると、彼の前にUFOが着陸する。そこから絶世の美女宇宙人が出て来る。
男は「良い女だなぁ」と近づく。
だが、宇宙人は彼ではなく隣にいた男の手を取り、UFOで連れ去る。
残された男は、暴れ回り、しゃがみ込む。
「また振られちまった。これで100人目だ!宇宙人にまで振られたのかよ!」
宇宙空間を飛んでいくUFO。
そんな絵コンテだった。
俺に主役のw振られる男をやってくれ、と言う。おいおいw
ま、暇な学生である、面白そうだから、出ることにした。
すると俺以外の配役は、まだ決まっていない。
更に彼は女の子の少ない学科の然も女の子の友達の居ない人だったw
美人の宇宙人は、俺のサークルのマージョと呼ばれていた女の子にしたいと言う。マージョとは魔女である。理由は、うちのサークルの男は俺以外6人はその子に言い寄り振られていたからだ。魔性の魔女。
俺は他の女の子に夢中だったから、マージョの魔性にはやられなかったw
そのマージョの出演交渉を任された。
確かに俺は1年の時からマージョと同じサークルだし、講義の空き時間には溜まり場の研究室とかで、トランプなどして遊んでたりしていたから。
俺はマージョに頭を下げて、頼んだ。マージョには、俺の映画ではなく、Tから頼まれたんだと話した。
何とかマージョは、首を縦に振ってくれた。
あとは、主人公の男が振られて、学内を追いかけ回す女の子だ。
この子は学内のサロンと呼ばれる自販機とソファーや軽食コーナーのあるところで、声をかけてナンパすることになったw
何人もに断られた。
困った俺は友人の大女優様と言う女の子に誰か知り合いの女の子を紹介してくれと頼んだ。そして、その子に話したら、彼氏が了解してくれたら出ると言われた。
それで、ある日、彼氏を交えてと大学の喫茶室で、話し合ったのだ。
彼氏の出した条件は、撮影には自分が立ち会って見ている。それでよければ、出演して構わない、これだった。
Tは了承して、ある土曜日に撮影することになった。
主人公の男が振られる女の子を写さなくてはならない。
Tと俺はカメラを8ミリカメラを持って、近くの大きな駅に行った。そこで、女の子たちを写した。マクドナルドで店員の女の子を撮りたいと言って、断られたりもしたw

昭和だったから、撮影はまだ8ミリだった。

撮影の日、女の子は彼氏と来た。そして撮影してるのを見ていた。男が彼女を追いかけ回すところは、爆笑して見ていたw撮影は、無事に終わった。マージョのシーンは、何回も撮り直していた。

そして後日、アフレコを行った。この時は、もう俺たちを信用していたのか、彼氏は来なかった。

冒頭の自衛隊機が撃墜されるシーンでは、自衛隊員が基地と行進するシーンとかあるが、これはTが親の寝てる部屋の隣の部屋で、深夜に布団を被りながら録音したそうだった。

この作品は、完成した後、特撮映画研究会名義で、上映会を行なった。集まったのは、出演者の友人やサークル仲間とかばかり。身内。
その年の大学祭でも上映された。そして、毎年、他の特撮映画と一緒に特撮映画研究会で、この作品も上演されていた。俺たちが卒業した後もw
俺は卒業した年の学祭に遊びに行って、後輩と飲んで学内を歩いていたら、知らない女の子に映画に出てた人だ!って指さされたw

昭和のアナクロな時代だった。
今、これを見たら大笑い出来るのだが、所有者だったTがフィルムを紛失してしまっているので、もはや見る事は叶わない。
残念無念。

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