メンヘラホイホイ-56 計画(第三章最終話)

自分はバイクが趣味で、各地に知り合いがいる。
某SNSで自分の愛車の車種のミーティングを企画した。参加者を募集し、日程を決めて、当日の日付が入ったTシャツを作った。

この車種は生産量が少ない。
コロナ禍でも各地からTシャツの注文が入り、一カ月で100枚以上売れた。

ミーティングでは兼ねてから仲良くしていたとある人と2年ぶりに再会。その人は当初ミーティングをやりたいねと言った。それが事の発端だった。

お金持ちみたいで、その人のバイクは誰よりもお金をかけていると一目で分かる。最初は張り合っていたが、カスタムしていく度に俺はバカバカしくなっている事に気付いていた。そこに蓋を閉めていたんだ。突っ込んだ金に名残惜しさがあったんだろう。

計画倒れになって反省点もあったものの、ミーティングを何とか終える事が出来た。

しかし、何故か参加者はミーティングを主催した人がその人と俺だと思い込んでいる。

ちなみにその人は女性だ。


バイク界隈は女性が強い。
ミーティングでも女性が参加するとスケベオヤジがワラワラ沸いてくるし、Instagramなんかはわかりやすい。

露出度の高い服装にセクシーなポーズで撮影した写真を載せると、それこそアホみたいにいいねが付く。そしてフォローしている。


ミーティング時にそれが露わになった。
とある女性が中心に一部の男性陣が加わり、最終的にミーティングが終わった後に分断が生じてしまっていた。


これは個々の判断だ。
指揮を取った奴はわかっているが。
翌年に俺がやった事を丸ごとパクった内容で、その車種のミーティングをそいつがやった。

Tシャツ作った事に対しても文句言ってたし、影響力のある奴に媚びるから、取り巻きは女性が多い方が良い。思った通りの行動をしていた。

すごく悔しかった。

だけど、この悔しさから自分を解放する方法が一つある。



このバイクを売っちまおう。

2年前から計画してミーティングが出来たけど、また翌年もミーティングをやりたかった。
少しずつカスタムして大切に大切に乗っていた。
だからこそ嫌いになりたくなかった。

でも、すげーバカバカしくなった。
Instagramも見栄の張り合い。

旅先でも写真に夢中になっている。

俺はもうそんな見栄で作り上げたバイクごと邪魔になっちまった。


そのキッカケが、ミーティング後のTシャツの追加注文。落ち度は俺にもあるな。
追加注文を受け、限定100枚作った。内金すら貰わずに。Tシャツが完成したはいいが、いざ発送日の連絡をしたら全員がキャンセルした。

最悪な事に、その注文をした連中は分断を起こしたとある女性の取り巻き達だった。

俺はハメられたらしいな。



いい勉強になったよ。

そのバイクがプリントされたTシャツ。
もうそのバイクを見るのも嫌になり売った。



そしてまた違うバイクを買った。

そのバイクでコンビニで休憩していると、隣りに止まったバイクのオーナーが来た。

「素敵なバイクですね。私もこんなバイクに乗ってみたいな。」

その人はみさこと言った。
俺より一回り年上の綺麗な女性だった。

次回:メンヘラホイホイ 第四章

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