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【FF16】影の海岸〜英語版と日本語版の違い

影の海岸のシーンについて、前回の記事でクライヴとジルそれぞれの気持ちの考察をまとめました。が、英語版を見たときにその解釈がひっくり返るくらい、終盤の会話の展開に違いがあるように感じました。
今回はその違いを考えてみようと思います。
※セリフの抜粋があるので、未プレイの方は注意です
※英語は翻訳に頼りつつで、細かいニュアンスまで掴みきれているかは不安もあります…あくまで個人の解釈として見てもらえればと思います…!


まず、ジルが、クライヴが昔のままちっとも変わらない、って言っているところまでは、英語版も日本語版もほとんど同じ内容だと思います。その後から、「あれ、日本語版と話してること違くない?」という箇所が出てきます。

もちろん、英語と日本語で、話すスピードというか、発話の語数も違うし、自然に感じられる言い回しも違ってくるため、100%同じ表現をするのは無理だし、そこはむしろ表現の違いとして大歓迎です!それが大前提ではあるのですが、気になるのは、「シヴァの力の譲渡がクライヴの独断か、ジルの合意の上か」という点です。
この重要ポイントが言語によって違って聞こえるのは、制作側の意図なのかどうか…?気になるところです。

ジルの決意 

日本語ver.

まずは、日本語版のジルの言葉を見てみます。

子供の頃からちっとも変わらない
たったひとり何もかもを抱え込んで…
もっと頼ってほしいのに
いつもそうやってひとりでいるから
一番大切なものを忘れてる
あなた自身よ、クライヴ
今度は自分のために戦って あなた自身のために

“もっと頼ってほしいのに”という言葉から、ジルがクライヴの力になりたい、側で支えたいという気持ちが伝わってきます。(ほんと、もっと周りを頼ってよクライヴ…と私も言いたい)

人は守りたいもののために生きて、生きるために戦う
あなたは私にそう教えてくれた
あなたと戦い続けるわ 最後の瞬間まで
あなたを守るために私は生きる

クライヴと共に最後まで戦うという、決定的なジルの決意表明。これは、文字通り物理的に側で戦うという意味にとれるし、ここでシヴァの力を譲渡することはジルの頭の中には1ミリもないように感じられます。(後でシヴァを吸収された時に驚いているし…)
これまで自分の体の負担をおしてクライヴと戦ってきたように、最後までジルはクライヴのために戦いたいし、それがジル自身のエゴでもあるんじゃないかな…。だから、私が決意したように、クライヴも自分のために、自分の戦う理由のもとで戦ってね、と励ましているのだと…。

ここでジルの考えていた「クライヴがクライヴ自身のために戦う」が何を指していたのかははっきりしませんが、それまでの話の流れからおそらく、「アルテマの器なんかではなく、人として生き残るために戦う」、ということだと思います。
しかし、クライヴがジルの言葉を受けて悟った戦う理由=“唯一の答え”は、ジルを守り共に生きること、そのためにもシヴァを吸収することだった、というのが日本語版の流れだと思います。
お互いへの気持ちが強いあまりに、想いが行き違っている…。クライヴがジルの決意を理解しながらも自分の気持ちをおしてシヴァを吸収した、という展開ではないでしょうか。

英語ver.

次に、英語版でのジルのセリフです。日本語版の“子供の頃から〜”と同じ箇所を引用しています。

You’re still that same boy I grew up with.
Always so eager to save everyone around you…
And yet always so alone.
Because you failed to realize the one thing that needed saving most of all.
You, Clive, you.
You never once took the time to save yourself.

ここは日本語版と大きく違うわけではありませんが、“もっと頼ってほしいのに”に当たる表現はありません。“everyone around you”という言葉があることで、クライヴが「周囲の人を救うために」身を尽くしてきたという点が日本語版より強調されているように感じます。
次の、“人は守りたいもののために〜”の部分も見てみます。

You fight to survive.
And you survive so that you may protect those you love.
It’s what you do. What you’ve always done.
And I know you’re not about to change. So I’m going to help you—
to give you what you need to protect us all.

ここが「ん?!」となったところです。日本語にしてみると、

あなたは生きるために戦う。
そして生き残る、愛する人を守るために。
それがあなたのすること。あなたがこれまでしてきたこと。
私は、あなたが変わるつもりがないことを知ってるわ。だから私はー
私達みんなを守るためにあなたが必要なものを、あなたにあげるわ。

という感じだと思います。あれ、待ってジル、自分からあげるって言ってない…?!
ここでの“what you need to protect us all”というのは、シヴァの力のことを指していると思われます。
もはやクライヴという人をわかりすぎていて、最後まで一緒に戦いたいと絶対思ってるはずなのに、その自分の気持ちを押し殺して力の譲渡を提案しているように感じられるジル…

この直後、“Jill…Are you sure?“と驚くクライヴ。クライヴも、ジルが自分と一緒に戦いたいと願っている気持ちは痛いほどわかっていたはず。それでも、“If this is what you want, then…”(それが君の望みなら…)と言ってシヴァを吸収します。ジルも、”Don’t worry, Clive. It is.”(心配しないでクライヴ、そうよ。=これが私の望みよ)と返しています。そして、さらに次の言葉に続きます。

This burden…
I’ll give you the strength to bear it alone.

(この重荷…
 これに1人で耐えられる強さをあなたにあげるわ。)

この”burden”が何を指しているのか。おそらく、みんなを守るために戦わなければならないというクライヴの使命、なのかな?ジルが自分の胸に手を当てて話しているので、最初はシヴァの力とか、ジルが負っている罪のことかと思いましたが、それだと「ジルの重荷にクライヴが1人で耐える力をあげる??」と、ちょっと意味が通らない気がして、このように解釈しました。

この時のクライヴはどんな気持ちだろう…。ずっとジルの負担を減らしたいと思っていて、まさにジル自らその申し出があったのだから(ジルの本意は違ったとしても)、ジルを守るためにもシヴァを貰い受けたいと思ったのかな。
それに、このままではバルナバスには勝てないと焦る気持ちもあったんだろうな…。自分がどんどん人でなくなることに慄きつつも、新たな力を手に入れることで強くなることを願っていたとも思います。アルテマに立ち向かうために。
いずれにしても、英語版では、ジルの提案に導かれるかたちだけど、双方合意の上で譲渡が行われているように見えました。

クライヴの誓い

シヴァを取り込んだ後のクライヴの誓いの言葉も比べてみたいと思います。

日本語ver.

君に誓うよ
俺は最後までこの運命と戦う
君と生きるために

日本語版では、「俺は」という主語の通り、クライヴ自身の決意表明。これは、譲渡の前にジルが語ったジル自身の決意表明に呼応する形になっていますね。

ジルの「クライヴの側で一緒に戦い続ける」という決意を半ば強引に踏みにじりながらも、ジルを守り共に生きるという自分の望みのために戦うことを表明。それは翻って、ジルが望む「クライヴがクライヴ自身のために戦うこと」につながっている。 
だからジルも、結局はそれを受け入れたということなんでしょうね…
私は初見時、クライヴがシヴァを吸収し始めた瞬間、なんでだよクライヴ!と画面越しに叫んでしまったのですが…(でも“君と生きる”という前向きな言葉で安心した記憶はある)

英語ver.

I promise you, Jill.
We will find a way to escape this fate…
Find a way to save each other…
(君に誓うよ、ジル。
 俺たちはこの運命から逃れる道を見つける。
 そしてお互いに生き残る道を見つけることを…)

英語版はというと、こちらもクライヴの誓いだけど、主語は”We”。ジルの合意の上で力を貰い受け、側で戦えずとも、一緒に力も重荷も背負っていくんだ、という2人の気持ちが感じられる気がします。(英語の表現上の違いなだけかもしれませんが。)一方的なクライヴの誓いというよりは、ジルの気持ちも汲んだうえの、2人の誓いのように感じられるのがいいなと…

結論、ジルの理解がすごい。

ということで、日本語版と英語版の会話の違いを考えてみました。
日本語版ではクライヴの強い意志を押し通してシヴァを吸収したように見えたシーン。英語版だと、あれ?!ジルが自ら受け渡している?!(もちろんクライヴと一緒に戦いたい気持ちが大前提にあったとは思うが)という驚きの展開に感じられたのでした。

英語版のジルはクライヴへの理解ができすぎて悲しくなるレベルだし、クライヴがちょっと受け身に感じるのが日本語版とは違うでしょうか。
日本語版は、おいクライヴジルの話聞いてたかっ!?ってくらい、言葉で気持ちを伝えない男の強引な愛の受け渡し感が強かった(それがクライヴらしさのような気もする)んだけど、そんなクライヴをもジルが理解してしまえるからやっぱりジル尊い…って感じてました。いずれにしても、ジルがすごすぎる。

英語版を見た人の解釈もきっと人それぞれだと思うので、みなさんだったらどんな風に受け取るか、ぜひ英語ver.も体験してみてください!

読んでいただきありがとうございました。

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