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【前編】臆病な猫と南フランスへ20時間の地獄のフライトを経験した話

行き先:羽田空港
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    シャルル・ド・ゴール空港
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    トゥールーズ空港
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    アルビという小さな街(彼の実家)

2023年11月16日のよく晴れた羽田空港。
私と愛猫(エキゾチックロングヘア)は、緊張した面持ちでエールフランスのパリ経由トゥールーズ行きの飛行機に搭乗した。
夫のいる南フランス(アルビ)に猫と一緒に行くと決めたのは、1年前。
この日が来るのがずっと憂鬱だった。なぜなら愛猫は極度のビビりだから。新しい環境に来ると、ずっとどこかに隠れてしまうし、夜中はニャーニャー鳴き続けるし、普段嘔吐しないけど嘔吐をするようになる。
飛行機の中で何かあったらどうしよう。
と、1年前からずっと心配していたのだ。前日も全然うまく眠ることができなかった。

車の中での様子。

母と弟が羽田まで車で見送ってくれた。
弟はわざわざ仕事を休んで愛知県から車を夜中に飛ばして来てくれた。
普段はそっけない弟だから、たまに見せる優しさに時々驚くことがある。
無事にチェックインが終わり、時間が余ったので軽くランチを取る。
大好物のシーチキンマヨネーズのおにぎりを最後に味わっておこう。
「じゃあ席取っておくから、シーチキンね」と母に話したはずなのに、母はレジでド忘れしてしまい、まさかの

母「あれ、たらこだよね?」
私「えー??シーチキンって言ったじゃん・・・!」
母「ごめんごめん、また買ってくるわ。」


と、無事に好物のおにぎりにありつけた。
塩の効いたおにぎりが、私の心をさらにキューっと締め付ける。
次はいつ日本に帰って来れるんだろう。。

羽田空港 第3ターミナルの人気のおにぎり屋さん

物思いにふけっていたら、もうすぐ搭乗する時間に。
母と弟にさようならを言い、手荷物検査に向かう。
母と猫と3人でしばらく東京で暮らしていたので、母は猫と離れるのがとっても寂しそう、、
手荷物検査のとこで、「猫がいるんですけど」と話すと
まさかの猫をバッグから出してくれとのこと。
怖がって嫌だ嫌だと暴れる猫を抱っこしたまま、なんとか手荷物検査を終える。
暴れてしまったので、猫のオムツが完全に取れてしまった、、、
母と弟と3人がかりでようやくオムツを取り付けたので
自分一人で取り付けるのはもう不可能。
オムツなしで、飛行機に乗るしかない。
(幸い、おしっこシートは用意していた)
ああ・・・先が思いやられるなぁ、、、涙

機内に猫と一緒に乗ってから、
猫の心臓の動きがまた一段と早くなるのが分かる。
ドッキンドッキンドッキン・・・
周りは日本人は少なく、フランス人だらけ。
すでにフランス語が飛び交う環境がさらに私を不安にさせる。
「なんとか無事に着きますように。。」

1番後ろの席を予約したけど、隣に人が来ないといいな。。
でも、不安だから一応CAに聞いてみた。
「すみません、隣の席は誰か来ますか?」
と、マッツ・ミッケンセン似の男性CAに尋ねる。

マッツCA「はい、ここは人が来ますよ」
私「え!?そうなんですか、、
猫がいるので空いてる席に移動したいのですが。。。」
マッツCA 「わかりました。空いてる席があるので、後で案内します」
私「おーよかった、、ありがとうございます」

幸運なことに3シート空いてる席が、1つだけあった。
よかった、これで愛猫とゆっくり過ごせるはず、、

ようやく離陸の時間。
ゴオオオオオと飛行機がすごい音を出し始める。
猫が心配で私も手に汗を握る。
離陸してから数分後、、シートベルトのサインが消える。
猫を確認する。すると、様子がどうもおかしい。

あくびをしたと思うと、そのままハアハアと口呼吸をしている。

これはマズイ!!!!

どうにかして呼吸を正常にしなければ!!!

慌てて、CAのいるバックヤードに駆け込む。
「すみません!お水をいただけませんか!?」
するとフランス人の男性CAが手に持っていた水を
はい!と、そのまま私に渡してきた。
え??今飲もうとしていたやつだよね?って思ったけど、まあいいや。
とにかく時間がない。
「ありがとうございます!!」
といい、愛猫に落ち着くサプリと混ぜて慌てて飲ませる。

あの変な呼吸の仕方は止まったようだ。
でも、ドキドキの速さは異常。
離陸して5分で、すでに地獄を感じた。
そして、愛猫に申し訳なさでいっぱいになって、もう泣きそうな心境に、、

しかし、ここで私が取り乱したら愛猫が可哀想。
守ってやれるのは私だけ。
そして時々手を突っ込んで、なでなでして慰め続けた。。

それから2時間ほど経過して、機内サービスが始まった。
すると、また違う男性CAが(エールフランスは男性CAが多い)
猫が入ってるカバンのチャックが少し開いてることを指摘。

「はい、閉めます」
と私も素直に言ったけど、心配性の私はすぐにチャックを少し開けては
なでなでして慰め続ける。。

そして事件は起こる。


私がトイレに席をたったとき、その男性CAがまたチャックを確認していたらしい。で、少し開いていたらしい。

それを日本人CAに通訳させて、怒られる。
男性CA「これで2回目の注意だぞ。絶対に開けるなよ」
(こんな言い方してないかもだけど、顔が怖すぎた)
この方、チーフパーサーだったらしい、、
私「はい、基本的に開けませんが、たまには様子を見てもいいですよね?」
男性CA「それもダメです」
私「!??」
泣きそうな目で、日本人CAに助けを求める。
日本人CA「彼はとても厳しいんですよね、、私も個人的には少し開けて確認することくらい良いと思います」
私「ありがとうございます。チャックはきちんと閉めます」

まあ、彼も仕事だから安全のために言っていることは正しい。
でも、コチラも猫の命が危険と隣り合わせだから
様子を確認することはさせてもらう。

それから、私も映画や音楽など聞く余裕もなく、
14時間一睡もせずに愛猫を見守り続けた。。

お守りをつけた愛猫のキャリーケース

食事をサーブしてくれるのが、あのチーフパーサーだったから結構ストレスを感じた。
無表情でサーブして、私と目が合うと一応口角を上げてニコッとする。
それがまた怖かった。。。

何度も神様になんとか猫が無事に着くように祈った。
1時間1時間が本当に長くて、人生で1番時間が長く感じた。
そんな地獄のフライトがようやく終了し、パリに到着。
はああああ、着いた〜〜〜。。。

愛猫に
「パリに着いたよ〜頑張ったね!!」とチャックを開けて確認する。

すると、グッタリしてコチラを全然見ない。
「どうしたの?着いたよ??」
と話しかけるけど、無反応。顔色もおかしい。

「や、やばい・・・とにかく給水だ!!!」

最後にもらった水を一応取っておいてよかった!
泣きそうになりながら、猫に何度も給水する。
すると、だんだんと目が開いて周りをキョロキョロし始めた。
目に正気が蘇った感じがする。

はあ・・・・よかった・・・・
本当によかった。。生き返ってくれて神様ありがとう。。

もう疲労と色んな感情が混じって今にも泣き崩れそうだけど、すぐにトゥールーズ空港までトランジットしないといけない。私がしっかりせねば。

シャルル・ド・ゴール空港に降りると、もうそこは海外の独特な匂い。
日本のクリーンな空気感がすでに恋しくなった。

トゥールーズ空港まではパリから1時間くらいだから、
あとはスムーズに着くだろう。。

と思っていたのだが、まさかの第2の試練が私たちを待っていた。。。

続く・・・


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