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[書評] 上達の法則 ~ 効率のよい努力を科学する ~

みなさん、こんにちは。Naseka です。
私は 哲学者・エッセイスト書評家 として、
自らを定義しています。

あなたは脈絡なく
「上達したい」
と思うことはあるだろうか?

もし思う人がいるとしたら、
失礼ながらツッコミを入れさせていただく。
「なにを?」と。

たいてい「上達したい」には
目的語がセットになってくる。

たとえば
「サッカーが上達したい」とか
「ピアノ演奏が上達したい」とか。

あるいは もう少し解像度を上げて
「サッカーのフリーキックが上達したい」
というように。

だから、「○○の上達法」という本なら
その道のエッセンスが
詰まった本だということは
容易に想像がつく。
(自身が上達するかは さておき)

それなのにこの本には、
その あるべき目的語がない。
かくも不思議な表題である。

だが、読んでみると面白い。
そして、この表題がズバリだということが分かる。


上達することは難しい

私自身も経験があることだが、
人間は必ずしも 頑張ったからといって
それが上達や成績に つながるとは限らない。

「頑張れば 必ず成果として報われる」
と約束されていれば、
もっと前向きに頑張る人は多いことだろう。

スポーツのように対戦相手がいるものは、
もちろん相手との力関係もあるから、
「成績」に関しては
絶対といえるものはなかろう。

だが、「上達」は別だ。
上には上がいる世界でも、
以前の自分と比べれて
レベルが上がっていれば、
それは紛れもない「上達」である。

その上達には自他の差や、
向上の幅は関係ない。
自分が過去の自分より
僅かでもレベルアップしていれば
立派に「上達」と言えるのだ。

諦めてしまう理由

だが、言うは易く行うは難し。

自分では一所懸命頑張っているつもりでも、
一向に成長しているように見えない。
ひどい時には、むしろ以前より
下手になっているのではないかと
感じる場合すらある。

なぜだ…
なぜこんなに頑張っているのに上達しない…
こんなに時間を費やして努力しているのに……

そしてついにはこう思う。

もうダメだ…
これは私には向いていないのだ……
もうやめてしまおう…

こんな結末はもう、
悲劇としか言いようがない。

些か前置きが長くなってしまったが、
本書を読めば こんな悲劇を
避けやすくなるはずだ。
(「確実に」とまでは断言できぬが)

「上達する」とはどういうことか

この本は全体を通して
「『上達する』とはどういうことか」
をテーマとして、具体例を交えながら
科学的な理論や研究に基づいた
解説がなされている。

筆者自身の体験から
将棋や茶道などの事例が多いが、
他にも楽器やスポーツで
例えられている項目も多く、
比較的 読み手がインスピレーションを
得られやすい内容になっている。

努力は嘘をつく

この本を読んでいて、
メジャーリーガーの ダルビッシュ有 投手の
ある発言を思い出す。

そう、「努力をすればいい」という
そんな単純なものではない。

上達をするためには、
「正しい努力」をしなければならない。
それは量的な問題かもしれないし、
質的な問題かもしれない。

どちらにせよ的外れな努力を
いくらしたところで、
上達には結びつかない。
(あるいは上達こそすれども効率が悪い)

今回紹介した本は、
その「正しい努力」を見つけるための
道しるべ的な存在となるであろう。

まとめ

物事が順調に進んでいるときというのは、
案外 何も考えていなくとも気楽なものである。

問題は、物事が思うように進まないときだ。

このとき自分に信念や後ろ盾がないと、
「このままでよいものか…」と不安になる。

だが、確たる信念や後ろ盾があれば
「このやり方で正しいはずだ」
「今は我慢のときなのだ」
と自身に言い聞かせて 努力を続け、
苦境を乗り越えることができる。

何の上達に挑戦するにおいても、
その努力の後ろ盾となってくれる
一冊である。

老若男女問わず、
読んでおくことをオススメしたい。

こんな人にオススメ!

・何かの上達に挑もうとする人
・頑張っているけど上達しないと悩む人
・特に これから挑戦が続く未成年諸氏

こんな人には合わないかも…

・上達というものに興味がない人
・あくまで自己流で上達をしたい人

お読みいただき、ありがとうございました。


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※ 勝手に紹介しているので、
 迷惑だったら ご連絡ください。

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