見出し画像

「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示企業一覧表 ー 23年1月末時点


昨年12月末時点から開示企業数は増加

本日はごく簡単に記事を1つ書きます。本年1月15日から東証が株価を意識した経営の実現に向けた対応企業のリストを公表しています。これは毎月15日に更新が予定されていますが、先週2月15日にアップデートされました。以下の中の「開示企業一覧」に掲載されています。

前回は昨年12月末時点のリストでしたが、今回は1月末時点です。前回との数値の比較は私は出来ていませんが、日経新聞の記事などを見るとプライム市場の上場企業では12末時点は660社でしたが、これが726社と増加したようです。約60社の増加ですね。

開示していないと株主総会で個人株主から質問が出る可能性大ですので、2024年3月期決算に向けて多くの企業が開示を検討しているのだと想像します。

投資家にとって大事なのは開示されている肝心の内容です

この数値だけ見ると、結構多くの企業が開示しているんだねと思われるかと思います。でも、この数値は、コーポレートガバナンス報告書に【資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応】という文言を記載している企業を東証が自動的に拾ってきており、その内容まで評価しているわけではないので注意が必要です。分かりやすく言いますとコーポレートガバナンス報告書に上記の文言を用いて何らかの内容の開示がされていれば良く、その開示内容が十分か否かまでは東証は評価していないのです。

従って、充実した開示をしている企業もあれば、他社例を参考にして、とってつけたような文言の開示で済ませている企業も多いと思います。以前にある企業の開示を見たところ、「ROEを向上させます」ということが簡単に触れてあるだけで、向上に向けた具体的施策がほとんど触れていませんでした。こんな企業の開示を見ると、いかにもやっつけ仕事でやっている感がします。

では東証はそんなことで良いのか?と思われる方もいるかも知れませんが、仕方ないです。東証は個別銘柄の開示のあり方を指導する立場にはなく、それは最終的にその企業に投資している株主が判断することだからです。勿論、好事例は東証は紹介しますが、最終的には企業に投資をしている株主の指摘・意見を踏まえて当事者間で改善せよということです。

望ましい「資本コストや株価を意識した経営」の開示は?

どういう開示が好ましいかについては、東証が2月1日に次のとおり「投資者の視点を踏まえた 『資本コストや株価を意識した経営』 のポイントと事例」を開示しています。これが株価を意識した経営の開示の基本的な考え方になります。
https://www.jpx.co.jp/news/1020/skc8fn0000001bv1-att/20240201_1.pdf

ご丁寧に他社の好事例も記載されています。
https://www.jpx.co.jp/news/1020/skc8fn0000001bv1-att/skc8fn0000001bxv.pdf

「投資者の視点を踏まえた 『資本コストや株価を意識した経営』 のポイントと事例」の案が出た時に私もnoteで考え方を紹介いたしました。ご覧を頂いた方もいるかも知れませんが(ありがとうございます!)、あらためて以下に再掲をさせて頂きます。上記URLの東証の資料の詳細確認をされる前にさくっと理解されたい方は、前回の記事をご覧頂ければと思います。