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「空間の日本文化」を読んで

この本は日本の空間論についての本です。著者のオギュスタン・ベルクさんは、パリ大学の博士号を取得し、風土学の領域を開拓し、独自の画期的な理論を構築するとともに、フランス日本学に新次元をもたらした第一人者です。

目次を見ると次のようになっています。
Ⅰ 環境に置かれた主体 空間の精神的組織化
 1 主体は適応可能である。
  ・音の知覚
  ・知覚されたものの言語化
  ・・・・・・・
2 象徴は有効である
  ・空間にリズムを与える「間」
  ・共存状態の設定「縁」
  ・・・・・・・・・
Ⅱ わがものとなった列島 空間の技術的組織化
 1 広がりは集中しうる
  ・外へ向かって伸びる力の欠如
  ・深い森と曖昧模糊
  ・・・・・・・・・・
 2 空間は面的である
  ・遠近法の拒否 
  ・街路は住民のものである
  ・・・・・・・・・・

裏表紙に建築家として有名な隈研吾さんが、次のように解説を書いてます。
「フランス日本学の若き第一人者による画期的な日本論。日本語の構造、心のありよう、家族・企業などの組織原論、都市空間、土地利用など、日本文化特有の有機的な空間性を多面的に検証し、統一的な視座を提出する。外部からの光により浮き彫りにされる日本的空間の全体像」

都市計画、建築には、空間が主要な課題となり、ギーディオンの有名な「空間・時間・建築」という本が建築学科の必読本でした。日本で意図的に公園を計画しても思ったように住民に使用されず、かえって裏通りのちょっとした空間に人が集まったり、パブリックスペースの概念が西欧と比べて薄かったり、歴史的に見ても面白いです。

著者はフランス人なので、フランス人の特質、空間概念と比較して日本的な空間などを説明したりしています。「空間」は、建築的にも文学的に見ても色々な発見、考察があって興味深いです。

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