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重箱の隅をつつく-7  2台のFord J Car

 2022.05.08に「レアモデル列伝-8 Ford J Car」を記載、その中で大手のSparkが2022.01に販売予定で購入希望者を募ったと。それから半年、2022.07.23にそのモデルが送られてきた。両車は似ている様で細かなところが異なる。そこで資料(「LE MANS 1960-69」と檜垣和夫著「Sportscar profile series 2 フォードGT」CG版)を読みながら、3台作られたどれに当たるのか推測したのが今回の重箱の隅である。

奥、以前レアモデル列伝で記載したもの、手前が今回購入したSparkの1/43モデル

 Ford J Car(以後J Car)は1966年(Fordが初めてLe Mansで優勝した年)の前年である65年のLe Mansの後にMk-2の弱点である、重量と空気抵抗を減らすべく計画された。名前は66年の1月から発効するFIAのレギュレーションのアペンディクスJに適合したという意味からJ Carと呼ばれるようになった。Mk-2と同等の強度と剛性を持ち、重量を減らす(空気抵抗はフロントウインドウが小さくなり、それだけでも減る)。66年に1号車が完成し、4月2-3日に行われたLe Mans Test dayに参加したのである。結果は参加車中では一番速かったが、65年のTest Dayで走ったMk-2より1秒4遅く、その後もテストを繰り返したが、66年8月17日に2号車(クローズドのCan Am用の車で、先端の棘とライト類を外したもの)を操縦したKen Milesが事故死した。その後もテストを繰り返したが風洞実験で空気抵抗が大きいことが分かり、4号車のスタイルを変更しMk-4が完成し、元々のJ Carはお蔵入りとなった。

資料:「LE MANS 1960-69」より、後ろのスポイラーが無い写真
資料:檜垣和夫著「Sportscar profile series 2 フォードGT」後端にスポイラーが付いた写真

 これらの資料から、モデルはいずれもJ Carの1乗車でSparkのモデルはTest dayの始めの頃、以前のモデルはその試走で後ろに大きなスポイラーを付けたものと推測した。また右ドア前の給油口はテストの後半で給油カバーを外したものと推測。屋根の青いラインはNASA型インテークの中までラインが書かれているのが正解。
 なお、背高はSparkの方が高い様に感じるが、これはモデルの設計者が意図したことの様で、スタイル的にはテスト後半のモデルの方が格好良い。

Sparkの1/43モデル、未だスポイラー装着前、
下の写真と比べると、マフラーの横に何かの器具が着いている。
Sapphire Modelcraftの1/43モデル、スポイラー装着後

 これら資料とモデルを眺めて、時間軸を推測した。乏しい資料では分からなかったことが、モデルを見ることによって理解出来るのも推理小説を読む様で楽しい。

今回購入のSpark製、Test dayのモデルであることが書かれている


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