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レアモデル列伝-28:  これぞ逸品 日本Can Amを走ったLola T160

 2023.05.14 noteに「事実は小説より奇なり-8  ‘68 日本Can Am」を掲載した。8番目になっているが、下書きができたのは22.10.16、なぜ半年以上費やして、やっと書けたかの由来を書こうと思う。

 2021年1月米国のマニアが大量のミニチュアカーをeBayのオークションに出品した。
 ほぼ2週間の間に自分の趣味に合致した件数は18件あり14勝4敗であった。
 普段eBayのオークション入札は2件/1ヶ月〜3ヶ月、それが2週間に18件なので予算や欲望具合を考え、更に終了時間(出品者はアメリカ人なので時差が絡んでくる)の問題があり、結構シビアであった。結局トータルでは14勝4敗と結構良い勝率だが、この敗戦で64年のMcLarenが駆ったCooper Oldsmobile、68年Chuck ParsonsのLola T160(Lugna Secaモデル)を逸したのが残念であった。特にC. Parsonsはその後何処のオークションにも出品されず、今回の騒動の元となったのだ。ただこの頃は日本Can Amを書こうとは思っていなかったのでそれほど憂鬱になることはなかったが。

 このオークションの半年後頃、やはり同じ出品者がLola T160の角栄スペシャルを出品、日本のオークションならまだしも、世界を相手のeBayで「角栄」と書かれたT160は殆ど競争相手がいなくて結構安価で入手、そうなるとその頃まで収集した日本Can Am関連車は結構の数になり、日本Can Amを書くことにした。

1/43 Marsh Models(MM)製 「角栄」「角栄団地」なら日本人以外は素通り

 しかし、いつまで経っても出品されないC. ParsonsのLola T160をどうするか、写真で間に合わせよう(このレースの2台はどうしてもモデルが無かった)と思ったが、良い写真がない。

 2022年9月、懇意にしているフィニッシャーにモデルの製作依頼、できればキットで持っているAl UnserのLola T160を改造して作って貰えないかと。承諾をとって22.09.08にキットを発送。

1/43 MM製 上方はAl UnserのLola T160の完成品、
下方はそのキット、左ドア後方のオイルクーラーボックスも特徴

 22.12.29、進捗状況のメッセージが届いた。それによると、後部のマフラー開口部等、思いのほかUnser車との違いがあり、修正に時間が掛かっている旨の報があった。写真をみると左ドア後方のオイルクーラー部の修正は上手くいっている様に見えたが。

1/43 MM製の改造途中、後のマフラー出口は大きく削りとった、
左ドア後方の大きなオイルクーラーボックスは綺麗に無くなっている、上の写真の下方を参照

 23.04.02、塗装が終わってデカールの貼り付けで、左右が対称ではなく、左右で異なる位置に貼付されているといわれ吃驚、薄ぼんやりした写真ではよく分からなかったが、よくその資料を探し出した調査能力に感服。「サイモナイズ」は他者に製作依頼して出来上がったもの。

右側のステッカー類、バラバラに貼られている
左側のステッカー類、ドア後方に順序良く貼られている、内容も上と異なる
「サイモナイズ」はこのモデルのみ、他のモデルは「SIMONIZ」と書かれている筈

 23.04.30、完成との報があった。しかし、写真をみるとラムパイプ上の金網カバーがない、これの制作依頼の報を返信。

ラムパイプ上にダストカバーの金網が無い

 23.05.12、金網が付いた写真がきてOKして送金。05.13、入手となった次第。

金網のダストカバーは良い写真が無く、ボンヤリした写真からか
後部の違い、No.10は赤色マフラーの他にギアボックスも付いている
フロントの写真、最先端のブレーキ冷却口が異なる、両車のバックミラーの形状も異なる

Chuck Parsonsや日本Can Amに興味のある方はnoteの「事実は小説より奇なり-8 ‘68 日本Can Am」をご一読願いたい。
                              2023.05.14

編集後記
Car Graphic誌のCG CLUB NL:Newsletterの367号、「私の逸品」に取り上げられたのでここに記す。

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                               2023.08.24

参考文献
日本の名レース100選 ‘68 日本Can-Am  Vol.005、平成18年4月23日発刊、三栄書房

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