発送の遅い『通販』。舞台裏ではこうなっています!

職場では頒布品の通販もしています。うちの通販業務は『数多く存在する日常業務の1つ』で、注文が入れば一手間掛かるため、多忙な日だと後回しになることも。実店舗持ちでそちらがメイン、通販はあくまでもサブだという業者さんあるあるだと思います。

今回は通販の舞台裏では何が起こっているか、私らが何をしているかをご紹介しましょう。これを読めば、発送の遅い業者さんにちょっとだけ優しくなれるかも?



【注文確認~発送、事後処理までの流れ】

1.注文メールチェック

ここでコケるナンバーワン。出オチ。罠。

うちには『通販担当者』がいないので、たまたま手が空いてメールチェックをした誰かが、注文に気付くところから始まります。うちでは住職か寺務長のどちらかが多くの場合は認識するので、「通販来てるけど」「あっはい見てみます」の流れで内容を確認します。

通販専門業者や意識もITリテラシーも高い業者ならこのへんロボットスレイブにやらせているのでしょうが、うちは生身の人間ありきのお寺。マンパワー9割5分です。

2.注文内容確認

1を無事突破すれば、寺務長は「少しでも早く届けたい」と考える人ですから、残業してでも通販処理に当たります。自分だけで完結できる内容なら居残り処理をしていますね。

ところが私はそうではありません。「あまり早く送りすぎても……」と、お守り類は敢えて発送を遅らせることもします。寺務長と反対ですね。なんでこいつらこんなユウチョウやねん?と思っているかも知れません。

実際、あまり早く頒布品が届くと『流れ作業』なのではないかと考える方もいらっしゃるんですよ。特に信者さんはそうで、お寺でもすぐに発送するか、しばらく温める(?)かで意見が分かれます。

3.担当いないw

うちではオリジナル御朱印帳がよく出ます。最初は全然売れなかったのですが、私が「御朱印書き入れて送りましょーよ」と提案して許可をもらったところ、突然売れ始めました。

通販用の御朱印は、お客様が実際にお参りしていない以上、直接お参りされた方にお授けするものとは異なります。書き入れるご本尊さまのお名前も別の仏様にしています。もちろん『奉拜』も書きません。

この通販限定御朱印をデザインしたのは言い出しっぺの慈岳で、他に書ける人がいないんですね。なので私がいない日は、書き入れが止まります。私が連休だとその日数分止まります。書記サンプルは作って寺務所に置いてますが、初級者には難しい崩し字なので誰も書いてくれないのです。

4.『プチプチ』とライト系手段での発送

うちは全頒布品で送料別途です。なので宅配を希望されれば高額となりますし、ライト系なら少し安い。たいていの注文者はなるだけ安い送料のものを選択してきます。

ここで問題となるのが『プチプチ』。こやつが無駄に厚さを食い潰すんですよねぇ。ライト系の発送は厚さに制限がありますから、適宜カッターを入れてプチプチの厚みを減らすのですが、どうしてもご希望の発送方法が制限する厚さに収まらないことがあります。

そんなときは伝家の宝刀、簡易梱包!

白紙でくるんだだけでそのまま資材に入れ、あとは宅配業者が丁寧に輸送してくれるのを祈るのみ。御朱印帳なら破損しませんが、数珠など木製ののものだと割れることがあるようです。送料ケチったらお互いに痛い目見ますので、安全な宅配便を選ぶの方が良さそうです。

5.ド田舎は時間指定できません!

当地は山奥ですから、どれだけ必死に可及的速やかに発送準備をしたところで、宅配業者さんの方では都会のように細かく時間を区切って集荷にも配達にも来てくれません。午後はこちらから呼ばないと来ないこともありますw

麓町の営業所から山への登り降りだけで片道1時間は掛かります。実質彼等が集荷に来られるのは9時~遅くて16時です。夜間なにそれ? 俺らにブラック労働(夜の山道的な意味で)させる気かな?

そんなもんです。タイミング次第では、これでまた発送が1日遅れることになります。辺鄙な田舎の業者から通販するときは、輸送事情も考慮に入れてお早めのご注文を。

6.お知らせメール送るヒマない

うちが使っているプラットフォームでは、注文受付、入金確認、発送のお知らせ。最低でもこの3件のメールが設定されています。朝は宿泊客のお見送り、昼間はご法要やご昼食、午後は新たな宿泊客のお迎え。

はい、メール無理です。遅れます。何なら忘れることも。各種メール用のテンプレは作っていて『商品名』だけ書き換えますが、多忙の合間なんかにやると誤字ります。伝票番号までお知らせする余裕もありません。

すいません、ほんますいません。今はまだ通販のお客様も高齢者多めで気長に待ってくれますが、アスクルなど配送の速いネット通販に慣れた世代が施主となるころには、うちの通販はオワコンになると思います。

7.後処理でモゲる

頒布品が出たら在庫数も書き換えねばなりませんが、通販の注文を認識したらとにかく発送を最優先します。で、もろもろの日常業務を終えて落ち着いた頃に在庫を書き換えるわけですが、在庫0になったときに限って同じものの注文が。

もう通販やめたほうがよいような? 

2割5分増しの残業してサイトいじってメールして、プラットフォームからはマージン取られて誰得なのかな?とか考えては、いやいや、遠方や高齢、病気などでお参りしたくてもできない方の便宜をはかるためだ!と思い直す。実際既存信者さんからの注文も多いです。

かといってこれを大手通販専門業者のように自動化すると、うちの規模ではガチ赤字。し日常業務でくたびれきったところに残った手間賃仕事で、心が折れるぞぃ。


【おまけ】なんぞこの人?な通販客3人

●同じお守りを3回リピ、計18体注文した中国人

送り先住所は一応日本国内。自分で信者さんを抱えて拝み屋か何かをやっている人の『仕入れ』ならギリギリまだ分かりますが、そうでなければ母国で転売する気かなぁ?と、職員はザワつきました。

●御朱印入り御朱印帳3冊一気買い

こちらは日本人でしたが、そんなに何冊も御朱印帳が必要そうな人でもないし、信者さんでもないまったくのご新規さん。このあとフリマサイトを行脚して思い付く限りのキーワードで検索しまくり、取りあえずシロだったものの、転売警戒で『1人n冊まで』の文言を追加。それ以上は電話注文に限定です。多少抑止力にはなるか?

●1,000円のお守りにデラ長文の『ご相談』

メールなっが。お目当てのお守り(1,000円)1体購入したい旨と、1,500字くらいの『ご相談』を書き連ね、返事くださいとのこと。長文アレルギー&読解弱者の寺務長が泣き入れて私に振ってきました。たまたま私も手が空いてたので返信しましたが、通販経費と私の人件費足したら赤字……。

まぁそんなおもしろい注文もありましたよということで、〆。

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