【会話文】浅田飴の品薄。原因は中国人の爆買い

喉が『商売道具』であるうちの住職は浅田飴の愛用者。慈岳も御詠歌でお歌を唱えるようになってから、住職のマネして浅田飴を舐めるようになりました。寺務所にたむろする謎の浅田飴。

住職の場合は単純に読経の機会が多いからなのですが、私はまだまだ喉の使い方が下手くそで、機会が少ないにしても無駄に喉を傷めてしまうのです。


●浅田飴がない!

月イチで都心に出たときに必ずすること。それは浅田飴ゲットのドラッグストア巡礼。どこにもかしこにも浅田飴がありません。そこだけ売り切れです。直近の都心を夫と2人で手分けし、免税店も含めて10件回って、裏道にあるさびれた薬局こと10件目でようやく浅田飴に出会えました。

慈岳「浅田飴、あるだけくださいませんか?」
店主「失礼なこと言うけど、奥様は日本の方ですね?」

眉間にシワを寄せた、初老の気難しそうな店主です。

慈岳「はい。私はお歌をしますので喉を潰すと仕事になりません。身分証いりますかね。これです」
店主「ああ、あの土地の方ですか!もう何ヵ月も品薄でね、たまに入ってくる。それを中国人が買いに来るんですよ」
慈岳「またぞろ中国人の爆買いですか……」
店主「うちは地域密着型の薬局。そりゃまぁ商いとしては売れればいいですよ? でも僕は日本人優先。爆買いされやすいものは、在庫あっても売り場に出しません。奥様にならお売りできます」

結局商売も、人と人とのやりとりです。

店主「在庫5しかないですが、よかったらあるだけ持って帰ってください!あの土地には僕の家もお世話になっているので、あなた方が喉を潰したら僕らも困ります。中国人には僕は売りません。免税店にもわざとしてませんし薬剤師仲間に聞いた話でも、あんな奴等来なくていいですわ」

何やら複雑な事情がありそうです。

●のど飴がコロナ避け?……はぁ!?

この店主は話せる!気難しい職人気質の人間が大好きな私は、すかさず情報収集をします。

慈岳「なんで中国人に、そんなに浅田飴が売れるのです?」
店主「コロナ避けになるらしいですよ」
慈岳「のど飴はいつから抗ウイルス剤になったのか」
店主「ですよね!こんなこと義務教育を終えている日本人ならわかりますw ……と言いたいところですが、いっときのマスクもそうで、日本でも週刊誌レベルのデマに流されるウマシカいるでしょ? 中国の人口は日本の10倍はありますから、そこはお察しで……」

日本でもいかがわしいゴシップだらけのB級週刊誌は売れてますからね。中国は『中国だから』悪いのではなく、人口比率的に、そんなデマにアタマやられる知的下層の人間が日本の最低10倍いるんですよ。国籍や先進国どうこうじゃなく、他人の醜聞や出どころ怪しいデマに踊らされる人間は一定数います。

慈岳「把握しました。ご店主のような方がおられるから私も住職も助かります。私のお名刺渡しておきますので、入荷しましたらまたご連絡ください。
着払いで大丈夫です。住職はプレミアついても買える財力ありますが、私は所詮雇われの身。しかし浅田飴には助けられている」
店主「やはり土地の方は違いますね。私ら商売人の苦労も分かってくださる。であれば、魚心あれば水心ですよ。また入荷あれば最優先で声掛けます。何なら入荷次第優先でご送付しますがどうですか?」
慈岳「そんな高額なものでないし、5缶揃えば代引き着払いでいきなり送ってください」

そんなこんなの商談をしていたところに夫合流。

夫「妻から聞きました。こちらには浅田飴があると」
店主「奥様はお歌をなされるとのことで。大手免税店で中国人がのど飴爆買いしてます。ウマシカすぎて言葉もないw」
夫「あーやっぱりですか。奥さんののど飴もらえたら」
慈岳「この人、飴ちゃんのノリで浅田飴平らげますがどうしましょう」
店主「薬物濫用やめてください!浅田飴は医薬品です!龍角散のど飴とかあるでしょ!」
慈岳「この人にはその差が分からないのです。甘ければすべて食べ尽くす」
夫「おのれ」
店主「おのれじゃないです!ビョーキになります! うちは日本人にしか売りませんが、濫用する方には売りませんw お名刺いただいたので、また入荷したら奥様にご連絡しますね」

大阪商人の心意気を見ました。

●医薬品フルシカトのスイーツ脳

単純計算で向こう半年の浅田飴を確保し、いざというときの『お守り』として職場のマイデスク引き出しに浅田飴を隠していた私に、脳ミソ砂糖で構成された夫がのたまいます。

夫「7つ食べたわ(テヘペロ)」
慈岳「あのなー、ほんとに浅田飴でないとだめなら舐めていい。御詠歌で喉がぼけてる私でも1日1回にとどめてる。浅田飴は医薬品。おくすり。何をばくばくと舐め散らかしてるんだ。ビョーキになるぞおい。そんなに飴が欲しいならのど飴にしとけ」
夫「浅田飴のニッキおいしいわw 慈岳はクール推しだね、住み分けられるねw」

おいしいじゃないよ。もう製薬会社は医薬品のど飴すべからく食べるのがイヤなレベルまで苦くするべきだ。もうだめだ、こやつは見た目こそおっさんだが脳ミソはスイーツ構成のデブクソ糖質ババアで、肌でも舐めたら甘味しかないレベルだ。私の秘蔵の引き出しから浅田飴を発掘し、折に触れては手を出して舐めているようだ。

慈岳「あのなー、これはクスリなんだって。飴が欲しいなら医薬品とか医薬部外品ではない単なる『お菓子』の飴を調達するから、浅田飴の浪費はやめてくれ。おまいは読経もお歌もしねぇだろ、なんでのど飴要るんだよ。今までに10回は言ったよね? 覚える気皆無だよね? これでも舐めてろ」
夫「ええ、飴ちゃん買ってくれたの? 嬉しい」

だめだ。だめすぎる。砂糖に汚染されて歩くたびにカフェでパフェ食べないと死んでしまいそうなスイーツババア的脳ミソは、もう私のような素人では復旧が不可能である! だから私は男女関係なく甘党の奴等は嫌いなんだ。あるちゅー酔っぱらいと大差ないやろ。

●地元の薬剤師さんの言

都会はどうしてもアホい外国人が爆買いします。なので、私はお寺の名前を使い、地元薬局における浅田飴の優先確保を試みます。

慈岳「どもども、◯◯院の慈岳です」
薬剤師「お、どうしたのかな」
慈岳「浅田飴、当地でも品薄なんですかね。あれば欲しいのですけど」
薬剤師「あーこのところ入らなくてねぇ。ちょっと待ってね。……あ、1缶あったわw 持ってこうか?」
慈岳「急がないのでこっち来るときでもお願いします!」

数時間後、薬剤師さんが浅田飴わずか1缶を届けるためにお寺まで来てくれたのですが、次の入荷は未定。外国人差別を恐れる大手チェーンの縛りこそないものの、『誰に優先して売るか』は難しいところですよねぇ。

言ってしまえば早い者勝ち。時には同胞をも犠牲にするわけですが、蓄えて仮に余らせたら、必要な人に分け与えることは勿論します。どこに『在庫』があるかの違いで、田舎は基本的に互助社会。お歌で仲間が喉をやられたら、気持ちよく差し出しますよ!

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