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不作為の罪を着せられた男

彼は合併前の旧会社からの2年後輩であって、わたしが休職する2022年11月までいろんな人から嫌われてきた。が、決して仕事以外ではまともな性格だと思う。
でも仕事となれば、特に機械設計ではダメダメなのである。理由を考えてみた。それは彼を教育してきた先輩が変人で、過去の唯一の成功例で自分の地位を確定させた未完成な設計者なのだった。

が、後輩たちの教育となるとまったくの素人で、自分の成功例から脱線した考えかたなどまったく受け付けないし、現場よりも理論優先。いっかいやってみようの精神などいっさい備えていない。あまりにも独裁的なやり方は、取り巻いている部下、後輩たちのモチベーションを根っこから引っこ抜き、ただのイエスマンだけが残る。やはりやる気のある人たちはその先輩から離れて行った。優秀な新入社員も3名退社して行った。会社にとっては癌だったに違いない。
でも彼は黙ってそこに居たのだが、オリジナルな考えは持ちようがなく独創的な発想など皆無で、先輩の指示されたとおりに設計をした。鵜飼いのように。

考えがなく出来上がった設備は、ギリギリ仕様を満たすのだが、微々たる調整、公差の下限、工場空気圧の下限において作動しないことがわかった。既に500台は出荷済みで大規模リコールを起こしてしまった。
責任は彼にもあって疑問があったか無かったか、わかっていても声を出せず、知っているのに行動をしなかった不作為が問題となった。彼の上司は不問になってまだジジイになっても偉そうにしている。結局彼は他部署へ左遷となる。いとあわれ。

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