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なろう系の小説はいかにして伸びるのか

 web小説といえば ”なろう系” が代表例として挙げられてもおかしくはない。というか挙げられて然るべきである。中学生や高校生までもが書籍化したなろう系小説を手に取り、webサイト”小説家になろう”のドツボにはまっていく。

 今や小説掲載数は100万を超え、登録ユーザー数も240万超えと若年層の創作の場所といえばここ―――というような地位を確立している小説家になろうだが、膨大な数の小説の山に、自らの小説も埋もれていく惨状に挫折した創作者も後を絶たない。
 それだけ競争率が高いといえばそうではあるのだが、創作者も自分の”子供”をある程度魅せる努力をしなければ、どんなに素晴らしい作品も他作品によるエトセトラの闇の渦に葬り去られてしまうだろう。

 かくいう私も売れないしがない創作者であり、亀更新の申し子である。これから私のような闇にしがみついて蜘蛛の糸を待つだけのような凡愚にならないためにも、君たちは幾ばくかの知識を得ていたほうが、多少創作の助けになるやもしれない。そう思い、私は情報を置いておくことにした。





私はどのような創作者であるのか

 まずこの記事を読むうえで私が読ませる側である限り、あなたたちに私の創作者経歴を伝えておかなければならないだろう。
 私の創作歴は約5年、東方Projectの二次創作者の作品に魅せられてから私の創作は始まった。東方Projectとは、同人サークル”上海アリス幻樂団”が主宰とする、弾幕シューティングを主としたゲームである。
 ゲーム内に登場するキャラクターの殆どが女性で、その独特な世界観に魅せられたプレイヤーは多く、東方厨という言葉もある程。

 そして当時高校生だった私は、小説サイト”ハーメルン”を通じて東方projectを知り、同時に小説を書くということを知った。
 ちなみにハーメルンは二次創作小説投稿サイトとして有名である。

 創作歴は約5年といったが、実際のところ実働約2年のペーペー。完結した作品は2作品、投稿した作品は8作品ほどと、亀更新の権化である。
 いまいち書いているものに自信がない、まさに量産型といったなりである。
 逆に言えば、それくらい創作に真摯であり悩める者でもある。



なぜ小説を書きたいか?

 閑話を中断し、また別の閑話を挟もうと思う。まずはじめに、君の根源的な”モノ”について確認したい。

―――なぜ小説を書きたいの?

 そう誰かに尋ねられたとき、君は自信を持って答えられるだろうか?

―――――――。

 結論を言おう。君が小説を書くだけのことに大それた理由は必要ない。大義名分なんて必要ないのだ。ただ、なんとなく書きたいと思ったから書いてみようでいい。
 絵を描くのにはハードルを感じるから、小説だったら始められそうかな?そんな理由でもいい。
 私はそんな理由から小説を書き始めた曰くつきだ。それでも5年も続いているのだ。コスパのよい趣味である。
 衝動で書けばいい、好きなように書けばいい。別に書くのに理由なんていらないのだ。



本題:なろう読者に読まれやすいジャンル


 さて、本題に入ろうと思う。ここで注意書きを記しておくのだが、何を隠そう私はなろうに詳しいわけではない。
 
ただ外から見てこういうことだよねっていうことを私の意見を踏まえて解説していくだけである。
 ・・・なので君もこういう意見や目線がある、とだけ感じてくれればありがたい。

 まず私はランキングに掲載されている作品の傾向を調べてみた。
 ジャンルでいうと

【恋愛】【ファンタジー】【文芸】【SF】【その他】【異世界転生/転移】

 とあり、そこから恋愛なら 異世界【恋愛】現実世界【恋愛】

 ファンタジーならハイファンタジー、ローファンタジーと細分化されている。
 私はてっきり異世界転生/転移モノがなろうのランキング上位を占めていると思っていたが、異世界【恋愛】ものがランキング上位を占めていた。
 なるほど、最近のYoutubeなどで流れる広告も悪役令嬢の異世界ものが多いな。トレンドも移ろいゆくものらしい。
 
 次点ではハイファンタジーが人気だ。ちなみにハイファンタジーとローファンタジーの違いは、現実的要素の有無。
 つまりは異世界を舞台としたモノがハイファンタジーであり、現実世界を舞台としたモノがローファンタジーだ。ハリーポッターがローファンタジーだというとわかりやすいだろう。

 異世界【恋愛】は一応その名の通りハイファンタジーの要素の一つなのだが、”恋愛”というジャンルと”ハイファンタジー”というジャンルの中の一つであるとも見てとれる。二つのジャンルを一度で楽しめるからこそ人気を博していると言っても過言ではないのかもしれない。
 それに加えて異世界【恋愛】モノは”ざまあ””悪役令嬢”といった特有の個性も有しており、”転生”といった強すぎる個性も付け加えることができなくはない。そりゃ人気なコンテンツになるワケである。

 異世界【恋愛】とハイファンタジーが現在のなろうのツートップになっていることは分かった。これにより、なろうで小説を掲載するなら異世界【恋愛】またはハイファンタジーを書いたほうが良いだろう、というのはご理解いただけたと思う。

 SFや現実世界【恋愛】モノを書きたい人もいるだろうが、この記事の題目はなろう系の小説はいかにして伸びるのかである。残念ながらこの記事では紹介しきれないことをご容赦いただきたい。


最初の爆発力で決まる

 私も以下の一部だった。

小説を書き、一話を書ききったところで投稿。小説を書き、次話を書ききったところで投稿。小説を書き、次話を書ききったところで投稿ーーー。

 残念ながらその手法ではUA(ユニークアクセス)はおろか、PV(ページビュー)も獲得しにくいだろう。不定期な掲載ペースは読者の目にとまりにくいからだ。

 さて、私は議題を呈そう。

 どうしたほうが、より読者に目にとまるだろうか?

 私たち物書きは、小説を書くと同時に読者に読んで貰わなければならない。PVがないということは、誰にも私の作品が魅力的だと判断すらしてくれていないということだ。
 PVとは、作品ページをアクセスしてくれた総回数のことで、例えば誰かが10回作品ページを閲覧したとするならば、PV1ではなくPV10と表記される。
 UAはアクセスしてくれた人の数だ。誰かが10回作品ページを閲覧したとするならばUA1と表記される。

 私は、作品がバズるためには一日に1000PVを達成する必要があることに気づいた。これはあくまでも指標だと思ってくれればいいが、一日に1000PVを達成した翌日のPV数は例外なく4倍、8倍とバズっていたのである。
 しかしこれには一つの条件があったのだ。

 どうしたほうが、より読者に目にとまるだろうか。という議題の話に戻るのだが、この答えが全てだろう。

掲載初日から数日は複数話更新―――。

 つまりは一部の人を除き、作品は書き溜めて置くことがマストなのである。また、全14話程度の短編小説なら、数日のうちに全話公開し、最大瞬間風速で一気に畳みかける投稿スタイルも多かった。
 長編小説の場合はスタートの数日間は複数話投稿、その後は基本毎日投稿。というように、作品を多くの人に読まれたいと思うなら、用意、工夫も必要ということか。



投稿時間も大事

 平日の午前9時に作品を投稿するのと、平日の午後6時に作品を投稿した場合、どちらの方がより多くの人の目にとまるのか?
 午後6時の方がよいというのは、いうまでもない。
 午前9時は学生も社会人もサイトにアクセスしづらい時間帯であり、午後6時は学生なら家にいるだろうし、社会人は仕事が終わってちょうど電車の中だろう。

 小説投稿は読者が余暇を持て余している時間に投稿するのだ。
 ターゲットが学生なら午後4時以降から投稿してもよいだろうし、ゴールデンタイムに投稿するのも効果的だろう。

 ただし、創作者(ライバル)は君と同じことを思って同じような時間に作品を投稿することを忘れてはならない。
 そういった背景もあり、やはり一日に複数回の投稿をするのは強力な手段といえそうだ。



まとめ

 以上のことから小説家になろうでは、現在 異世界【恋愛】が覇権を握っており、次点でハイファンタジーが人気なコンテンツである。
 作品をバズらせるためには、上記のコンテンツで一日に1000PVは最低限必要であり、初日からの数日間は複数話投稿とそのための書き溜めが大事になってくる。
 投稿時間はできるだけ毎日同じ時間に、かつ読者の目にとまりやすい時間にすること。


終わりに

 私たち物書きは決して書く楽しさを忘れてはならない。

 冒頭に述べた通り、私は重度の悩める物書きである。どうすれば自分の書きたいものを周囲に読んでもらえるのだろうかと毎日のように悩み苦しんでいる。
 そんな私は、普段私が巣にしている小説サイト”ハーメルン”であまり書こうとは思わないが人気がでそうなので書いてみた作品が二つある。

 結論からいうと両方一定の評価値がついた。だが片方は自分の文章力が拙いのに関わらず”作品に色が付いた”のが許せなかったので削除した。
 もう片方は削除はしてないのだが、話が段々とよくわからないものになってきて、”書きたくないけど書いている”状態になっていると感じたので休載という体にして戒めとして残した。

 小説というものは、”創作者と読者の遠回しな対話”である。

 私が楽しく書けば読者も喜んで読んでくれるだろうし、つまらなそうに書けば読者は居なくなっていく。
 この記事を書いていうのもなんだが、私は好きに書いて好きに読んでもらうのが一番だと思っている。

 端的な言葉や文字のやりとりではない。物書きとは、自らが創造する物語を通じた読者とのコミュニケーションみたいなものなのだ。
 そういう意味で、小説を書くならば私たちは読者との対話を忘れてはならない。

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