雨の日に、ヴェールを被って

今日は9月1日、六曜では大安だったので新品の靴をおろした。雨だけど。履き心地抜群。
NIKE AIRMax95で、少々友達ウケは悪いけど、私が履けばみんな可愛いって言い出すんだもん。不思議だよねー!

雨の日は小学生が長靴履いて、ランドセルまですっぽり入る大きさの傘持ってるのを見るだけで幸せ。傘だけで歩いてるみたいになるのが可愛くて好き。電車で帰る子達は、最寄りの階段に1番近い車両を狙って並んでる。自動販売機に貼ってある広告や駅のポスターに書いてある文字を、カタカナとひらがなの部分だけ読みながら歩いてるせいで、1人だけ遅れてる子もいる。
文章になってないから、アンパンマンのボタン押したら五十音を発音してくれるおもちゃみたいになってる。

乗り換えのとき脳貧血で目の前が真っ白になった。その時おじさんにぶつかってたらどういう反応されたんだろう。心配されたか迷惑そうにされたか。どっちでも恥ずかしいな。

恥ずかしいと人は笑うか怒るか無表情で「そうだよぼくはそういうやつだよ。」と受け入れた振りをするか。
照れた方がよっぽど見てるほうは気が楽なのにね。
私は笑顔で受け入れた振りをする派。
「まぁ、たしかに笑えるよね。でもこれ以外方法知らなくて、はは、ごめんね。」
なんでか謝っちゃうよね。別になんでか考えもしないけど、なぜだか。
私は自分の照れ方自体恥ずかしいんだ。
子供部屋でプリキュアのマネをしてるところを、こっそり親に観察されてたのがバレた幼稚園児みたいに、「もー!!いるなら言ってよー!!えへへー、もーー!!」ってなっちゃうからね。
これが、ぶりっ子に見えるんだって。
そんな照れ方しか知らないもんね。

自分で作ったキャラクターを演じてないと、すぐに人を不快にさせちゃうし、傷つける。
と、思ってるうちはまだ未熟で、自分が1番傷つきたくない時だ。
私の素直が人を救うこともある。だけど、踏み入って欲しくないときは絶対誰しもあるのに、それを知らなかった。
「1日の関係で、心を開いて貰うのはとても得意。
それが長く続くと、もう既に開ききってる心を抉ることしか出来なくなる。
だから、1枚キャラのヴェールを被って慎重に接してるけど、このヴェールを脱いで欲しいと思ってる人が沢山いて、それももうそろそろ鬱陶しい。私はどうでもいいからこのよくできた仕立てのいいヴェールの質感を、触って確かめてくれないかな??どう?触り心地は。ディテールも凝ってて、最近は青色のラメや桃の刺繍だって施してあるんです。」
なかなか気づいてくれないね。見えたものが正解とは限らないのに、どうして気にならないの?

私のヴェールに気づいてくれたら、「実はこの中身はこんなふうになっているんだよ、面白いでしょ?触ると手から溶けてしまうかもしれないから気をつけて。さっき透けてた刺繍は、実は本物みたいに匂いもするんだよ。ほら、あそこにはイチゴのパフェだって。え、ここでは知ってるものでも違う使い方をされているんだね、ですって?いいことに気がついたね、でもおしゃれだって思ったでしょ?急に光ったと思ったら涙が溢れて水浸しになることもあるから、その時はあなたが持ってる傘を差し出してあげてね。
この子は傘が好きなんだ、全身すっぽり収まる、上から見たら金平糖が歩いてるみたいに見える傘が。雨の音も、傘があれば面白いし、あなたの傘ならもっと素敵な気分になると思うの。」
と言って、あなたの存在自体に感謝したくなって、その世界でずっとお喋りしてると思う。

そうすると、バイト代が周りよりも1万円少ないこととか、学生のうちに弾けられないこととか、家族を大事にしたいから早く帰ったのに、SNSを見ると急に寂しくなることとか、全部どうでも良くなる。
ヴェールの下がどうなってるか、見てみたいって人、私はあなたが大好きです。

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