“イチイ”の実生について。

先日に引き続き、今度はイチイの播種を行いました。
同じような流れで記事を書いていきます。

場所:福島県某所
日時:2023.9.23



イチイについて。

マツ目イチイ科イチイ属に属する常緑針葉樹です。
学名:Taxus cuspidata
別名:オンコ、アララギ
高さは20m程まで育ち、沖縄や九州南部を除く日本全国に分布しています。

参考内容。

イチイの種子は硬実で,発芽が困難なため,発芽促進をおこなわないで春にまきつけると,発芽するまでに長い年月を要し,しかも幼苗が不ぞろいとなるため,そろった規格の育苗が困難だと言う問題点がある。この種子は種皮が水分を通さないため,胚や胚乳が膨潤せず発芽できずにいる場合が多い。このため種皮の一部を除去したり,穿孔したりするほか表面の磨滅または濃硫酸による腐食などを施すことによって,発芽を容易にするなどの効果が期待される。

,処理方法がもっとも簡単で容易に発芽する方法は,土中埋蔵と傷付け処理であった。また浸水処理は発芽が完了するまでに3ヵ年を要するため,年度毎の発芽率が異なりばらつきが多く,従っていっせいにそろった幼苗を量的に得ることが困難である。一方,濃硫酸処理は濃度や処理時間によって発芽率が異なるため,薬剤の調合や方法が技術的にめんどうであり,さらに処理方法に検討を加えて一般化しなくてはならないだろう。

一般にイチイの種子は、発芽促進をおこなわないで春にまきつけると、発芽が完了するまでに4ヵ年を要すると言われている。前述の4処理について,まきつけ後の4年目に当る1974年に,この未発芽の種子をまきつけ床から堀りだして内部を観察した。その結果いずれも胚や胚乳は黒褐色に変化して乾燥萎縮し完全に発芽能力がみられない状態となっていた。この主な原因として,濃硫酸処理区では,処理の過程に濃度や時間の関係から,これらの組織が腐食し発芽機能が低下したものと考えられる。また,傷付け,土中埋蔵および浸水の各処理区は,まきつけ後,長期間露地に据置いているため,霜柱による浮上や沈下によって種子が床面に露出し乾燥して発芽が困難になったのに加え,小鳥などによって種子が飛散したものも考えられる。したがって発芽率を高めるには,その年の発芽終期時に未発芽の種子に対して再度覆土やワ写真-1土中埋蔵処理の発芽状況(まきつけ2年目)写真-2浸水処理の発芽状況(まきつけ2年目)ラ被いを施し,種子の露出などを防ぐべきであろう。このほか,樹木の種子は採取後,直ちにまきつけることによって,発芽期間の短縮や発芽率の向上が期待されるため,このとりまき法についても検討し一般化すべきであろう。

斎藤晶 “イチイの発芽促進法”2023.9.24 
https://marusho-eco.jp/column/l-compatible-items/l-waste-acid/l-inorganic-waste-liquid/l-sulfuric-acid/sulfuric_acid_dispose/


播種内容。

種を採取してから播種を行うまでの工程は以下の通りになります。
①種を採取する。(今回は12粒)
②果肉を完全に取り除き水で洗い流す。
③1時間ほど浸水する。
④播種を行う。

今回私が採取した種は完全に熟してはいない様子でした。
②の工程の際に果肉が残らないよう、手のひらで爪を立てながら行ったところ、硬いはずの種皮が剥がれました。最初は黒かったのですが、最終的には緑色や黄色に近い色になりました。

参考資料によると発芽促進を行わない場合、発芽に4年かかるとのことでしたが、今回私が採取した種は熟しておらず、種皮が剥がれたことにより内部まで水がいきわたり易いのではないかと思い、特別な処理は行いませんでした。

アパート暮らしでスペースがないので実家の庭に置かせてもらい、腐葉土と黒土で3cm程の覆土を行いました。これなら乾燥しないだろうと、期待も込めて。基本用土は鹿沼土です。


種を採取したイチイです。
実も赤く熟しているように見えました。
ぷにっぷにです。
果肉を取り除きました。
ここから手のひらで若干転圧し、覆土を行いました。

以上です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?