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お墓参りと最後の1枚〜丁寧に選ぶということ。

久々にお墓参りに行ってきた。
若くして亡くなった友人の。
一緒に行った友人2人とお墓の前で
たわいもない話を1時間弱して
お墓参りっていいよね、としみじみ語り合った。

お墓参りというと、幼い頃
「墓地で転んだら、3年以内に死ぬ」
という意味のわからん言い伝えを従兄弟から聞き、
墓地ではそろりそろりと歩いていた。
あるとき、当の従兄弟が墓地で走って転んだ。
3年以内に死んでしまう……と、
私も彼も密かに怯えていたが、3年経っても
40年を超えた今も、まだ死んでいない。

バケットリストという言葉を知ったのは
『女の香り』というドラマだった。
癌で余命宣告された主人公が
死ぬまでにやりたいことを全部書き出していく、
そのリストのことだ。
命が限られているから、期限があるから、
やりたいことが明確になったり、
本気で取り組んだりするのだろう。
時間が限られているほど、本気になれる。
いつもは30分かかる準備が
寝坊して差し迫られると5分で準備できる、みたいな。

以前、ある俳優が、雑誌の企画で
フィルム1枚だけで撮影する、というおもしろい試みをやっていた。
今の時代、スマホで気軽に写真が撮れるため
何枚も何枚も意味なく撮ってしまう。
が、人生で1枚しか撮れないとしたらどうだろう。
何を撮るか、どんな角度で撮るか、
ものすごく吟味して、その1枚を撮るだろう。
「限定」されることで、「吟味」の発想が生まれるのだ。
バケットリストもそうだ。

先日、X(Twitter)で興味深いつぶやきを読んだ。

なるほどなと思った。
人生であと1枚しか写真が撮れないとしたら
人生であと1食しか食べられないとしたら
人生があと1日だったら……
もっと丁寧に選べるかなと思った。

お墓で転んで死ぬことが怖かった幼少期の私は
ものすごく丁寧に足場を選んで歩いた。
その墓地は、急斜になっていて、
足場がすべりやすい場所にあった。
今思えば、子どもたちが走って転ばないよう、
大人たちが怖い作り話を吹き込んだのだろう。

そういえば、子どもの頃、
限られたお小遣いを握りしめ
金額内で買えるお菓子を選んで選んで選び抜いたっけ。

限られたり、危険を感じたり、
何か差し迫られたとき
丁寧に、懸命に、選ぶものだ。
20年前に亡くなった友人の前で
なんとなく、そんなしんみりした気持ちになった。

話は変わるが。
以前、現状を変えるにはどうしたらいいだろう、と
ある人に相談したとき、こう言われた。

「優先順位を変えたらいいよ」

やりたいこと10個、あるうちに
これまでなら仕事が1番だったら
1番を家族にする、1番を勉強にする、
1番を趣味にする、1番を社会貢献にする……
仕事の中でも、優先順位を変える
家事の中でも、優先順位を変える
プライベートでも、優先順位を変える
1番大事なものを、1番にする。
1番大事なものが、わかれば
優先順位が決めるはず。
そんな話だった。

あと1枚しか写真が撮れない、
あと1食しか食べられない、
限られてしまったとき、
1番はなにになるか。
丁寧に、真剣に、悩んで選んでみることは
大事かもしれないよなぁ。

20年前に亡くなった友人は
私の原稿を褒めてくれた編集者の大先輩でもあった。
久々にご挨拶にいけて、よかったなぁ。




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