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大きいつづらと小さなつづら、錯覚問題。

大きいつづらと、小さなつづら、どちらか好きな方を持っていってください。
そう言われたら、どちらを選ぶか。
かの有名な「舌切りすずめ」の話だ。
これ、自分なら間違いなく小さい方を選ぶ。
なぜなら、欲張りに思われたくないから。という気持ちがないわけではないけれど、やはり「小さい方が重い」気がするからだ。

この現象、シャルパンティエ効果といって、同じ重さの物を比較した際、視覚的に大きく見える物の方をより軽く、小さく見える方をより重いと錯覚してしまうものなのだそうだ。
つまり、錯覚。
同じ重さの箱があったとして、大きな箱の方が持ってみて「意外と軽い」と感じ、小さな箱の方を持ってみると「意外と重い」と感じるらしい。

ちなみに、「錯覚」は「勘違い」ではない。
勘違いの場合、実際とは間違って認識してしまっていることで、本当はこうだと教えられれば、正しい認識に修正できる。
それが、「錯覚」の場合、本当はこうだと教えられても、脳はどうしても「大きい方が軽い」「小さい方が重い」を曲げることができないのだ。

そういえば、最近知り合いの名前をずっと「勘違い」していたことに気づいた。「縁」さんなのだけでど、糸へんだけで勝手に「緑(みどり)」さんと勘違いしていた。
そして、先日知り合って1年にして「縁(ゆかり)」さんと判明した。
それ以来、「縁」は「縁」にしか見えず、「緑」はしっかり修正されている。

先日、写真家・幡野広志さんのセミナーで、なぜか写真が素敵に見える縦横比(アスペクト比)があると聞いた。
それが、縦6:横6 の比率。要は正方形、インスタグラムで使われる写真の形だ。
なるほど、インスタの写真が素敵に見えるのは、この黄金比による「錯覚」が原因だったのだ。
つまり、普通の写真でも正方形に切り取ってしまえば、なんとなく雰囲気が良く見えちゃうというわけ。
ちなみに、映画館はシネマスコープといって、2.35:1の比率。
映画館に行って、スクリーンがあいたら、6:6のインスタ比率でした、となると、映画を観ている気にならないだろう。
あの比率だからこそ、壮大な世界を「錯覚」できるのだ。
そういう意味で、「錯覚」はやばい、のだ。

小顔に見える髪型や痩せて見える洋服、錯覚をうまく活かしたやり方がある。
同様に、人は最初に言われた言葉より、最後に言われた言葉のほうが心に残るという。これもある種の「錯覚」だ。
悪いことを言わなければならないのとき、厳しい指摘をしなければならないとき、先にネガティブなことを伝え、そのあとに良い言葉を伝えると、相手の気持ちを傷つけずに伝えることができるという。

たとえば、人に面倒な頼みごとをする場合、
「あなたにちょっと大変だと思うけれどこの仕事を御願いしたいのよ。だって、あなた、◯◯のとき素晴らしい結果を出したじゃない!」
先に面倒な依頼をしたのち、相手の良い点を褒めればいい。
そうすれば、褒められたことの方が強く心に残り、お願いごとの大変さなど薄れて、YESな気分になるそうだ。
叱るときも同じく。先に厳しいことを伝えてしまう。そのあとに、「おまえは、以前も指摘されたことをすぐさま改善して、よくなったじゃないか!」と褒めるのがいい。

真実だけが正しいとは限らない。
その言葉で元気になれたり、前に進めたり、やる気になれるなら、
それは嘘でも本当はいい。
真実が正しいとは限らない。
嘘でもいいから前に進めるきっかけが欲しいときが、人にはある。

ゲッターズ飯田 公式Xより

なにげなく読んだこの飯田さんの言葉、「錯覚」の活用にも通じる気がする。
正しいことばかりにこだわりすぎず、小さなつづらを選んでみたり、小顔に見える髪型にしてみたり、最後に素敵な言葉を残してみたり、カモフラージュを活用できるような柔軟さを持っていたいなぁ。

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