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なりたい自分と、やりかたの真似かた。

ある俳優が、自分が好きだという曲をカバーしたのを聞いた。
そのなかで、「そんな人でいられるように」という歌詞があって、それがとても印象的だった。
このところ、「〜のような人になれるように」「〜のような人になりたい」そんな感じの歌詞やセリフをよく耳にする。
私が、そういった言葉に敏感になっているのか、それとも皆がそういった言葉を欲しているのか、とにかくよく出会うのだ。
そして、「みんな、なりたい自分があるんだぁ」と、単純に感動してしまう。

うちの姪っ子は、ある時期、モデルの“にこるん”こと藤田ニコルに憧れて、「にこるんになる!」と言って、ファッションからメイクまで、あらゆるものを真似しまくっていた。
おかげで、にこるんがディレクションするアパレルブランドの店がどこにあるのか調べさせられ、にこるんがデザインしたという服をおねだりもされた。
成人した今、にこるんの完コピはしていないようだけれど、おしゃれさんは相変わらずで、自分なりのアレンジが少しずつ芽生えているように思う。

思えば、私も子供の頃は、某アーティストに憧れ、髪型を真似して、母親にこっぴどく怒られた。当時にしてみたら、奇抜だった。
それでも、私は「彼女になりたかった」のだ。
美容院に雑誌の切り抜きを持っていき、「この人のようにしてほしい」と渡して切ってもらうこともたびたびだった。
でも、できあがったヘアスタイルを見て、「これじゃない」感じに少なからずショックを受けるのがオチだった。

「そんな人になりたい」とき、真似から入るものだ。

話は変わって。
ノートをうまく使えるようになりたいと思い、流行りのメモ術やノート術なる動画を見まくった。
仕事ができる人は、ノートの使い方がうまい、という勝手なイメージもある。
占い師のゲッターズ飯田さんが、長年のデータを書き込んだ分厚いノートをもとに華麗に占っているのを見て、影響されたのもある。
業界随一のメモ魔で知られるベンチャー起業家・前田裕二さんが、メモについて熱く語っていたのを見て、影響されたのもある。
「ああなりたい」と思って、メモのとりかたのノウハウが書かれた本を読み、早速真似てみたのだけれど、最初だけだった。
最初は同じようにやってみるのだけれど、どんどんマイルールになっていく。
いくつかのノート術を真似ては、結局マイルールに戻り、自分の書きたいやり方だけがどんどん更新されていっている。

推し活もそうだ。
たとえば、推しグッズの保管法。友人たちがきれいに飾ったり、整理整頓しているのをみるたび、真似ようと思う。
できそうなやり方は取り入れたりもするのだけれど、同じようには決してならない。
憧れは憧れであって、同じようになる必要もないのかなと思い始めている。
きれいにきっちり真似する必要はないのだ。

ここのところ、ノウハウ本やノウハウ動画に触れるたび、なんとなく満足して終わってしまう自分がいた。
「これで、あなたも◯◯になれる!」とか言われてしまうと、つい気になって見てしまう。
やり方って、なんだろうなぁ。
これは良さそう、活用できそう!といっときは思い、真似もしてみるのだけれど、それは所詮、その人のやり方であって、自分がやりやすいスタイルではないという結論にたどり着く。
でも、世の中はやり方術が人気なんだよなぁ。

そんななか、先日参加した幡野広志さんの写真のワークショップで、「真似る必要なんてない」という言葉を聞き、ハッとなった。
たくさん撮って、自分の好きな撮り方を見つけていくほうが、よほどいい写真が撮れる。
そんな話だった。

「なりたい自分」がある時点で、その人のオリジナルな気がする。
真似から始まったとて、結局、やり方は自分のものができていく。
やり方は、少し大袈裟な言い方をすると、「生き方」とも言いかえられるかもしれない。

自分のやり方でないと続かないし、上手くできないものだと、全然真似になっていない自分のメモを見ながら、そう思う。


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