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ピーナッツチョコ

 まだ夫と結婚していなかった、はるか前のこと。私と夫は遠距離だったので、月に1回くらいしか会えなかった。明日会う予定なのに、バレンタインのチョコを用意していない。私はあわてていた。もう夜も遅いし、どうしよう。

 キッチンを探してみると、板チョコとピーナッツ(つまみの残り)はあった。ピーナッツチョコならできる。

 私はまず、ピーナッツの殻をむいて、茶色い薄皮もとった。その後、チョコレートを湯煎にかけて溶かした。家にあったアルミカップにピーナッツを入れ、その上から湯煎して溶けたチョコレートを注いだ。冷蔵庫で冷やして、出来上がりのはずだった。

 次の日、まだ若かった夫に、出来上がったピーナッツチョコを渡した。夫は、ひとつ食べようとアルミカップを外した。ピーナッツチョコの底の方は、ピーナッツがひしめいており、チョコレートが底まで届いていなかった。そして、ピーナッツに対してチョコが少なすぎる。

「ピーナッツの割合が多いね。」

と言いながらも笑って食べてくれた。


 次の年は、トリュフを作ったのだが、これもまた失敗。生クリームの量が少なかったようで、カチカチのトリュフになった。まんまるな上に硬いので、食べにくいったらない。見た目だけはよかった。仕方ないので、そのままあげた。

「硬いね。」

と言いながらも笑って食べてくれた。


 2年連続の失敗、原因はわかっている。レシピを見ずに、適当に作ったからだ。レシピは大事。



 今年は、スーパーで夫の好きなお菓子を選んで、職場で食べるおやつの詰め合わせをあげた。とても喜んでくれた。私の手作りチョコよりも、はるかにおいしいに違いない。



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