見出し画像

手に負えない

 時々イヤイヤ期が来る。子どもたちのではない。中高校生の子どもたちは反抗期だ。イヤイヤ期は、わたしだ。


 時々、なんにもしたくなくなって、床に寝転がって、動きたくなくなることがある。ご飯も作りたくないし、トイレに行くのもめんどうだ。平日は、それでもなんとか気持ちを奮い立たせてがんばるのだが、イヤイヤ期が金曜日に重なるとだめだ。気力という気力が削がれてしまう。明日休みという安心感のせいか、とことんイヤイヤになってしまう。


 仕事から帰ったら、手を洗って(それはきちんと洗う)リビングの床に横たわって、ごろごろする。

「イヤだ、ご飯作りたくない。」
「食器洗いたくない。疲れたもん。」 
「洗濯物、たたみたくないよ。」
手に負えない、わたし。

「ほら、母ちゃん。起きなよ。」
娘や息子のやさしい言葉にも、

「イヤだ、起きたくない。つかれたもん。」
イヤイヤ全開だ。

  子どもたちも慣れたもので、夕ご飯の相談を始める。作ってくれるわけではない。イヤイヤ期のわたしでも作れそうな簡単なメニューを提案してみたり、お弁当を買いに行くことを提案したり…。 

 そのうち、わたしもお腹が空いてくる。イヤイヤ期の終わりも近い。空腹には勝てない。ぼちぼちと起きて、嫌々ながらお弁当を買いに行く。


 周りは迷惑かもしれないが、わたしはこの小1時間のイヤイヤ期に助けられているかもしれない。たまには思いっきりグダグダしたい。そして、それを許してもらいたい。甘えたいのだと思う。大人になると、甘えることが減ってしまう。なんとなく、なんとなく、がんばらないといけない気がして、自分にタスクを与えてしまう。そんなところから、解放されて思いっきりわがままを言ってみたい。いや、もう言っているのか…。なんにしろ、たまのイヤイヤ期、思いっきりダメな自分になってみると、気持ちがリセットされる。また明日からがんばろうと思える。もっといい方法があればいいのだけれど。

 いつも受け入れてくれる子どもたち、ありがとう。君たちのイヤイヤ期(もう終わったか。)も反抗期も、全部わたしが受け止めてあげるよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?