見出し画像

正直でいること

 自分に正直でいること、以前はそれがとても苦手だった。今は大人になり、随分と上手にできるようになったが、子どもの頃は、自分の考えていることがはっきりとせず、わからなくなっていた。小さな頃からそうだったように思う。

 小さな頃、私は自分を出すのが苦手だった。

 幼稚園で、折り紙を折る時、棚から好きな色を選んでくる。他の女の子たちは、ピンクを選ぶ子が多かった。それに合わせて、私もピンクを選んだ。

 あの頃、私は何色が好きだったんだろう。 

 卒園に向けて、文集を作っていた。先生から将来の夢を書くように言われた。周りの子たちをみると、はなやさん、かんごふさん、ケーキやさん、などと書いていた。私は、母が花が好きだったので、何となく「おはなやさん」と書いた。

 あの頃、私は何になりたかったんだろう。

 小学校の給食でセロリがでると、みんなが、
「いやだー、キライ。」
と言いながら、難しい顔して食べていた。私は、セロリが好きだった。生でかじりつくくらい。だけど、なぜか、
「私はすき。」
とは言えず、みんなと同じような顔をして嫌々食べているふりをした。

 私は、セロリが大好きだったのに。

 何をするにも、自分で決められなかったように思う。周りを観察して、みんなに合わせて…といった感じだった。ある程度大きくなってからは、自分がいいと思うもの、かわいいと思うもの、言えるようになったが、それでも、自分の選択に自信がなかった。どうして、そうなってしまったのかはわからない。人からどう見られるかというのを、必要以上に気にしてしまっていたのかもしれない。冒険はせず、無難なものを選んでいたように思う。そんな状態なので、中学生になり、好きな男の子ができても、誰にも言えなかった。友達にも。自分の好きになった男の子が、周囲の子からどう見えるのか、わからなくて不安だったからだと思う。自分の判断基準に自信がなかった。とにかく自分に自信がなかった。それなのに変なプライドだけあったのだと思う。自信のない自分を隠していた。

 私が変わったのは高校からだ。仲良くなった友達の影響だと思う。見た目は、おとなしそうな子だったが、話してみると自分の考えをしっかり持っていた。私もそうなりたいと思った。その子には、少しずつ自分の内面を見せられるようになった。その子に、私の考えを伝えても、いつも受け入れてくれるし、自分の意見もくれる。とても安心できる場所だった。今もそれは変わらない。年末、友達に会って改めて思った。


 私の好きなものは、一部の人から見ると少しずれているかもしれない。それでもいいや、と今は思える。隠したり、人に合わせたりするのはもういいやと思う。私が少しくらいおかしなことを言っても、笑ってくれる人たちが周りに残っている。これからも増えるかもしれないし、このままかもしれないけれど、それでいい。私は今の自分の方が好きだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?