濡れタバコの連絡ノート第四回「弱者男性涙目!裏切りの姫君」

 つい先日、衝撃的なニュースが飛び込んできた。ウェザーニュースのお天気お姉さんとして知られる我ら弱者男性の姫、檜山沙耶氏がプロテニスプレーヤーの西岡良仁氏と交際していたことが判明した。よりによって弱者男性の姫と功が高い人物が相手が錦織以来のテニス選手と呼ばれるほどの大物であったこと、そして何よりとても爽やかなスポーツマンと交際していたことが我々姫に忠誠を誓っていた弱者男性市民の失望を買ってしまったようだ。その影響は小さくは無かったようで、交際を配信番組で宣言した瞬間にTwitterのフォロワー数が4,000件も減ったそうだ。有名人やインフルエンサーのアカウントのフォロワー数にしては少ない数だろうが、一キャスターのアカウントとしてはやはり無視は出来ないだろう。今回は、この一連の出来事を振り返って如何にして我ら忠良な弱者男性が裏切られたのかを改めて考えてみる。

 まず最初に気になるのは、彼女は本当に「弱者男性の姫」だったのかというところだ。この話題を取り上げておいて、お恥ずかしい限りだが、彼女がそう呼ばれていたのはつい最近知った。Yahooニュースを参照したところ、確かにそう言われては居たようだ。ここで、彼女を紹介するWikipediaの記事を見てみよう。「人物」の項目欄を見てみると、幼少期からテニスやピアノ等を習っていたとあり、又漫画やアニメのファンで鬼滅の刃や鋼の錬金術師等のファンだそうだ。なるほど。確かに、アニメなどのサブカルチャーには精通しているようだ。しかしながら、列挙された作品はどれもこれも一般的な社会生活を送っている日本人なら一度は触れていて当然の「表層的な」作品ばかりだ。勿論、これらを真剣に愛好するディープなアニメオタクが居るのも事実だ。しかしながら、社会現象を巻き起こした鬼滅の刃などは流行に敏感な若い女性なら義務感のようなもので作品を「履修」している方も多いはずだ。体感での話になるが、大抵我々のような弱者男性にしてアニメオタクという種族は「メジャーで表層的なみんな見てるアニメは見たくない」ともっとディープな作品群に生息している。また、よしんばこれらの作品を鑑賞している弱者男性は「どれ、皆が面白いと言っているがほんとに面白いのかチェックしてやろう」とばかりに穿った鑑賞の仕方をするものが多い。このような種族の中であくまで檜山氏は一般的な趣味趣向の一つとしてアニメを軽く楽しんでいるような気がしてならず、また、本人が弱者男性の姫と呼ばれていることを自覚している素振りもない。また、前述の西川氏と出会ったのも幼少期から嗜んでいたテニスが理由だと見られる。このことから普通にスポーツを嗜んでいる女性が新進気鋭のプロスポーツ選手と出会って交際しているに過ぎない。

 次に、何故アニメも楽しむごく普通のスポーツ好きのお天気キャスターが弱者男性の姫と呼ばれるに至ったかを考える。これは恐らくだが、ウェザーニュースというメディアの媒体性によるものなのではないだろうか。ウェザーニュースは専用のアプリで日々各地の天気を発信しており、YouTubeでも天気のニュース番組を発信している。一般的なテレビのニュース番組よりも弱者男性の視聴者が多いと考えられる。また、番組内でアニメ「スパイファミリー」に登場するキャラクターのコスプレをしたとも発言しており、このことが「姫」としての存在感に拍車をかけているのであろう。こういったごく普通のアクティブなだけの女性がコスプレを嗜むのも体験としてごく普通のことのように思われる。「私〜ちょっとサバゲー何回かやったことあるんですよね〜楽しかった〜」位のニュアンスだろう。また、これらを煽ったのはウェザーニュース運営に他ならない、弱者男性の視聴者に媚びる目的で、ごく普通の女性キャスターを姫として担ぎ出したと見るのが自然だろう。そして、番組内でコスプレしてみましたと言わせたり、アニメの話題を振ったりしてあの手この手で総ては幻の偶像を目の前にぶら下げ弱者男性を愚弄したのだ。

 私は今回の騒動を振り返って檜山氏もまた自らが属する企業の利益のために偽りの姫に祭り上げられてしまった被害者だと確信が持てた。本人がどう感じているか定かではないが、ごく普通の女性が夢見る幸せを掴み取ろうと邁進していたのに愚弄された怒りの弱者男性から非難を浴びせられる。被害者しか居ない哀れな諍いとは何とも虚しく悲しいものだ。どうか企業経営者の皆様は利益のために安易な偶像を創り上げる事だけは辞めて頂きたい。

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