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落としたキャンディを拾う(終)⑮

今朝もまたサバサバ系のお掃除ロボ「ふく子」が稼働した。

私はソファでうずくまって音楽を聞いていた。
(「ふく子」の音がウォンウォン大きくても)
すると何か手こずってる音。
見るとひっかかった充電コードを振り払おうとしてる。

「からめちゃったよー」とエラーにはならず、
「これっ!離れな!」とくるくるしてる。

仕方なくソファから降りてコードをはずしたら、途端にスーっと離れていった。
するとまた近づいてきた。今度は長男のにゃんこの手提げバッグを押して運んできた。

たくましいな、「ふく子」。押しが強め。
押しの強さ、私も欲しい。

昨日は診察日。
伴って、3週間ぶりに恋した彼のいる薬局へ。
ちょっと思った以上にドキドキしてきて。
むむ…これは何かを結構期待しちゃってる時の鼓動だ、と思った。
違う。今日少し、いつもより少し多く話せたら私は嬉しいの予定。落ち着いて、とスーパーのベンチに座る。

もしかすると、いないかも。タイミング悪くて違う人かも。それってめちゃ泣くな…

薬局に行き、今日の薬剤師メンバーを見る。
3人いる。名前あり。よし!

事務さんが出てきて、処方箋を渡した。
あれ?なんか知ってる姿が見つけられない。
どの人かな?って感じ。
あんまりじろじろ見れなくて、目を逸らして待つ。

名前呼ばれ、窓口にはやはりその彼。
ちょっといつもと違うく見えた。髪が伸びたかな。ちょっと疲れてる?
すごく若く見えてたんだけど、昨日はすごくではなく見えた。
ちょっと安心したような気がしたり、夢見がちに見えてたキラキラが覚めた感覚。

いつものように薬の確認。何も変わらないのではっきりいって即効終わってもいい状況。

今回、90日分て…主治医にえっ?聞き返してしまった。また会う機会減るな…

「私からは以上ですが、何か質問ありますか?」いつもの締め言葉。

ない、ないよ、特に。
ここでできそうな会話、色々考えてたんだけど周りの人に聞こえたらと思ったら何も言えなくなった。
そして、体調がよろしくない時期で、切り返す瞬発力もなく。

「ないです。」と伝える。
すると、「では…○○と△△はきちんと続けて飲めていますか?」と。
こう言われて、まともな質問があったと思い出して、2つほど質問。
いんじゃないかなって答えに、少し笑ったりして、会計に。

ああ、これで今回は終わりだな…
いつものようにカードケースからカードを出すと
「4月になって、忙しいですか?やっぱり」
え?業者トーク?
いや、家庭とかのことだな。

私「まあ…、でもこちら忙しいでしょうね、連休なんかも」
突然のトークでびっくりして声が小さい私(体調がよろし…)

「あぁ、そうですね、誰かはいなきゃないですね。連休はどうなんですか?」

私「あ、私スーパーのドラッグで仕事してて。同じく休みないんですけど。でもお休み入れてもらったんで…でも疲れそうです」

連休…家族全員いることはほんとにリスクが高く、絶対的に激しい喧嘩が起こる。
連休にいい思い出は、ない。

「あっ、そうか…」
呟いてから「では」と領収書をもらう。

初めてのフリートーク?で、うまいこと話せなかった感があるけど、多めの会話が、しかも話を振ってくれたことが嬉しくて、その後の買い物がさっぱりうまくいかなかった。
ふらふらだった。

会話は分析すればするほど色んな可能性が生じるから、ひとまず会えたな~と話せたな~の余韻に浸る。

昨日私は、女だった。
今まで気になる異性には、気があるというアピールをしたことがなかった。むしろ匂わせなかった。旦那のときも。

でもアピールしていたな、私。
目をしっかり見ていたし、髪の毛を何度も直して。(髪とかほんとやらないようにしてた)
こんな風な恋の進め方はキュンだな、と思った。なんで40代にもなってから…遅すぎ。
恋をもっと前のめりで楽しめてたらよかったな。
今になったけど、この感覚知れてよかった。

次は1ヶ月も会えない。
そのあとはたぶん2ヶ月…

今の生活、何でもかんでもすぐ手に入るし、したい行きたいもなんだかんだわりと満たせる。

こうして偲んで偲んで待ちにまってということ、すごく特別。そして、この楽しさと喜びは私しか知らない。

こんなエピソードもまた何十年後に思い出して、拾われるキャンディ。きれいな色のキャンディだといいな。



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