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たやすく諦めてはいないというだけの話

金曜日 PM4:00

今年度から発足した新しいプロジェクトチームのキックオフミーティングが始まった。

メンバーは僕を含めて4名だけど、実際、このプロジェクトが立ち上がる前から関連情報を収集し、具体的なアクションプランまで作成していたのは僕だけだったから、その僕が一通り話してから、メンバー間で議論するという(まぁ、いつもの)流れとなった。

ただ僕にとってうれしい誤算だったのは、自分のプランが満場一致であっさりとOKとなり、早速、来週から具体的なアクションに移れることになった点だった。

もっと「他にこーゆーのがあるよね」とか「こっちのほうがいいんじゃない?」という展開になって、結局やることが決まらないまま初回は終わるのではと思っていたからだ。

でも、そうならなかったのは、これは完全に手前味噌だけど、おそらく僕がかなり入念な下調べをしてほぼ突っ込みどころがない完璧な企画書を用意して臨んだからだろう(何しろ昨年の10月からこのプロジェクトに関係する計11社と計18回にわたって面談を重ねてきたからね)

けど、今回のミーティングでそれ以上にうれしかったのは他のメンバーの意識や危機感がほぼ僕と同じだった点だ。

例えば、その日、マネージャーから明らかにされた今回のプロジェクト発足の本当の理由(裏話)が会社の偉い人の単なる思い付き以外のなにものでもなく、その子供が「おかあさ〜ん、あれ欲しいよ〜」というレベルの話を、またいつものように部長たちがそのまま現場に投下してきた事実が判明したわけだけど、それに対して、

「たとえ無駄な抵抗になったとしても、できる限りレジスタンスしようぜっ!」

とみんなでちゃんとスクラムを組めたからね。

ちなみに、これ会社人(組織人)じゃなくて仕事人としては当たり前の話だけど、仕事ってさ、見た目の派手さやキャッチーさなんかよりも、実際に我々従業員や何よりもお客様にとって意味や価値があるものであることが重要だし、かつどんな人でも引き継げるような持続成長可能なものでなければいけないのだよね。

もちろんそれを実現することは決してたやすいことじゃないけれど、このプロジェクトメンバーの顔触れを見たら、特にこのプロジェクトにかかわる技術の専門家で仕事に対して非常に強い責任感を持つK氏がいるから、きっと成し遂げられるはずだと心強く思ったよ。

というわけで、早速、来週からそのK氏と一緒に今回のアクションプランを具現化すべく様々な具体的な施策を実行に移す予定である。

そんな僕(ら)の今期の最終目標は、発端のあの偉い人に対してプレゼンを行い、僕らのプランを了承してもらうことだ。

それは言ってみれば「プレイステーションの新作ゲームを欲しがっている子供に向かって代わりにけん玉を差し出すくらい」無謀な試みだったりするわけだけれど、絶対に失敗は許されないとも思っている。

というのも、たとえ見た目はそこらへんにいるさえない中年太りのおっさんに過ぎない僕らだとしても、それくらいのプロの仕事人としての気概や誇りは失っていないつもりだからだ。

そして、僕らだけじゃなくて、そんな無数のアノニマス(無名)なプロたちがこの日本の屋台骨を支えている映像が不意に頭に浮かんできた僕は、ぶるるる…。とまるで雨に濡れた犬みたいな武者震いをしたのだった。






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