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ボクだけの東京地図

まずは今から約9年前に東京の老舗喫茶Wの小冊子に掲載された僕のエッセイをご一読ください。

私の東京地図

就職で上京してから早いものでもう20年が経とうとしている。

上京当時から今日に至るまで私の根っからのお上さん気質は決して色褪せることなく、そのおかげで私の東京地図はどんどん更新されている。

しかし、その中で明らかに変わったことがある。情報収集の仕方である。

上京直後、知り合いもいない私が最も頼りにしていたのは、ある情報雑誌だった。当時はその雑誌を握りしめて、今週は浅草、来週は吉祥寺といった具合にまさしく東奔西走していたものだ。

それがいつしか友人や恋人が出来、彼、彼女たちからの紹介で、情報雑誌が決してフォローしないような地味で猥雑で、でも何だか懐かしさを感じさせる場所にも足を踏み入れるようになった。

この時、ずっと観光客のように恐る恐る東京を眺めていた自分がほんの少しこの街の内側に入り込めたような気がして嬉しかったのを覚えている。

その後、ほどなくして私を襲ったのがIT革命である。片手に収まるその情報端末を使えば、☆つきで美味しいお店も探せるし、最新のスポット、イベントもほぼ見逃さずにいられる。

「なんて素晴らしいんだ!」気づけば私はヤツの虜になっていた。
そう、他の多くの日本人と同じように。

しかし、今ではそんな完璧なはずの相棒とも意識的に距離を置こうとしている自分がいる。
なぜなら全く先入観がない状態で訪れた場所で感じた感動に勝るものはない、という真実に(ようやく)気が付いたからだ。

だから、今後、私はなるべく自らの経験に基づいた勘だけを頼りにこの東京の街を練り歩いて行こうと思う。

かけがえのない私だけの東京地図の完成を目指して。

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ちなみにここで言及されている雑誌は、Tokyo Walkerのことだけど、久しぶりにこの文章を読み返して自分が真っ先に思ったのは、(今より)まだ若いのになんか覇気がなくて老成しとるなあ、というダメ出しに近い感想だった(笑)

あとは、なんか柄にもなく大人の振りしやがって、というこれもまあ悪態だよね(笑)

つまり、時間の流れとは逆に、今の僕は、あの頃の僕より、少なくとも精神的には明らかに若返っていると言っていいだろう。

あと、ここで書かれているありきたりな

私の東京地図

は確かに

今では、

めちゃくちゃ濃厚なドラマがたくさん詰まった

ボクだけのかけがえのない東京地図

に変貌した。

本当にこの人生の折り返し地点を跨いだ9年間の間に、我ながらまさかこんなにもドラマティックな人生を

この東京の街で

送ることになるなんて全く想像だにしなかった。

それまでは鉛筆でなぞっていた

それが今では彫刻刀で自分の足跡を地図に刻みこんでいる

少なくともそれくらいの感覚はある。

そんなボクだけの東京地図(絶賛突然変異中)をこれからもこのnoteでたびたび書いていく(たまに写真付きで)つもりなので、みなさんこれからもよろしく!




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