二人の心が急接近した、あの坂道のことについて
みんな大好き、あの猿萩レオンさんが、福岡の観光スポット、おいしいお店、おいしいお土産などをこれでもかとばかりに詰め込んだ玉手箱のような記事を昨日アップされていた。
その彼女の太っ腹なサービス精神がとにかく嬉しくて、僕は読了後、ほぼ脊髄反射的にこんなコメントを寄せたのだった。
というわけで、早速、その福岡のお店にまつわるエピソードを今から書かせていただきます!(というか、この記事を読むまですっかり忘れていた記憶だったので、掘り起こすきっかけを与えてくれたレオンさんに改めて感謝!)
↓↓以下、本文↓↓
時は200X年
僕と彼女は、下関に住んでいる彼女のご両親へのご挨拶を済ませた後、彼女が中学~高校時代を過ごした福岡の地に降り立った。
当然、彼女にとっては青春の思い出がいっぱい詰まった場所で、しかも、中高時代は(僕とは異なり)割とリア充だったみたいなので、市内にある素敵なお店を本当にたくさん案内してくれた(もしかすると、後にも先にも旅先で彼女が率先してガイド役をしてくれたのはこのときだけだったかもしれない)。
そして、その日の締めくくりは、福岡市の郊外にある彼女お勧めのチョコレート屋さんだった。
当時、全国のデパ地下にお店を出している某有名洋菓子店に勤めておりスイーツ通を自称していた彼女としてはどうしても僕を連れていきたかったお店だったらしい。
ちなみに、そこで僕は確か生まれて初めてザッハトルテを食べたのだけど、あまりの美味さにあっという間に平らげてしまった。
このとき、その僕の様子を見ていた彼女の鼻の穴が少し膨らんだような気がしたのをよく覚えている。
そして、食べ終わった後は、腹ごなしを兼ねて、あえて地下鉄は使わず、市内中心部までぷらぷらと歩いて帰ることにした。
5月の新緑のまぶしい季節だった。
空には青空が広がり、風はおだやかで、人通りの少ない住宅街は、不意の旅行者の二人にもとてもやさしい感じがした。
今思えば、そんなアットホームな雰囲気が彼女の背中を後押したのかもしれない。
二人が緩やかな坂道を下っている最中に、突然、彼女がとても面白いこと、というか、いわゆるギャグを言ってきたのだ。
しかし、僕は最初、そのギャグに全く気が付かなかった。
というか、何かの聞き間違いだと思ってしまった。
なぜかと言うと、それまでの彼女は、そんなギャグを言うようなタイプではなくて、口数が少なくていつも穏やかな笑みを品よく浮かべている、僕が好みの文学少女のような感じの人だったからだ。
しかし、そんな風に僕が、彼女がきっと勇気を振り絞って発したであろう渾身のギャグを華麗にスルーしてしまっても、彼女はめげることなくまた同じギャグを繰り返し言ってくれたのだった(どんなギャグだったかは残念ながら忘れてしまったけれど・・・)。
すると、さすがに鈍くさい僕でも、彼女の様子がどうやら普段とは違うことに気が付いた。
そして、改めて彼女の言葉を反芻しそれがギャグだということを認識すると、確かにすごく面白かったから僕は思わずその場で吹き出してしまった。
そのときの僕を見つめる彼女の「ホッとした・・」という安堵感と「してやったり」といういたずらっぽさが混じりあった複雑な表情もまたとても鮮明に覚えている。
そして、これがきっかけで、彼女は、自らの「ギャグマシーン」としての才能の封印を完全に解くことになるのであった。
しかし、僕はそんな彼女のジャガーチェンジ(豹変)ぶりに対して、ガッカリすることも、騙された、と思うことも全くなかった。
それどころか、元々、僕自身がすごいネガティブ思考な陰キャ野郎で、だから、それまではそういう自分と似たようなタイプの女性と付き合ってきて、しかも約1年前にまさにそういうタイプの女性と離婚をしたばかりだったから、
「これはもしかしたら嬉しい誤算かもしれない」
と思ったほどだった。
そして、そんな風に伸び伸びと楽しそうにしている彼女を見ていたら、自然と僕の方もよりナチュラルに、つまり、自分のダメなところや間抜けなところも包み隠さずに見せることができるようになっていた。
そう、僕らの心は確かに福岡市内にある、あの坂道でぎゅーんと距離が縮まったのだ。
そして、あれから14年の月日が過ぎた今、
「あのときの自分の直感は正しかった」
としみじみと実感している自分がいる。
それくらい、彼女との結婚後の僕は、彼女のその持ち前の明るさとギャグに何度も救われてきたからだ。
・・なんて言いながら、冒頭にもお話した通り、このエピソードをレオンさんの記事を読むまで僕はすっかり忘れていたんだけどね(苦笑)
でも、思い出した今は、またいつの日かあの坂道を再訪したいと思っている。
そして、そのときは彼女と僕と息子の3人で行きたいな。
<おしまい>
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