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『PERFECT DAYS』観賞

ドン・キホーテで急に、業者っぽい二人組(男と女)がぬっと現れて、「ちょっとすいません」と声をかけられた。

わたしは咄嗟に身構えて、万引きはしてないですが、という気持ちで、「はい…」と答えた。

そしたら、男のほうが「突然すいません、U-NEXTのキャンペーンしてまして、特典で映画がタダで観れちゃうんですけど興味ありますか?」と言ってきた。

食料品を買ってる時に人に話しかけられることがないから一瞬めちゃくちゃビビったが、"無料で映画"の響きに抗えず、結局その話に乗ることにした。

夫とふたり、その日はちょうど暇だったから、その足で映画を観にいくことにした。選んだのは『PERFECT DAYS』、少し前に夫が観たがってた映画だ。

事前知識としては、トイレ掃除をする人の話、ということ。トイレの神様?(懐かしい)とか思いながら日比谷のTOHOシネマズシャンテに着き、あまり期待せずに観はじめた。

しかし、思った以上にわたしの好きな世界観で、なんだか嬉しくなった。日々の繰り返しのなかに、自分なりのリズムを持つこと。自然がつくる偶然の美しさに気づけるような時間があること。

公園のトイレ掃除の仕事は、都会でスーツを着て働く大勢の人たち(都会のマジョリティ)とはまた別の時間軸で動く。主人公は、まだ陽が昇りきっていない朝焼けに車を出して、夕方前に仕事を終える。

その後に、いつもの銭湯に行ったり、行きつけの酒屋に行ったり。同じ都会を生きてるけれど時間の流れ方や感じ方がちがう。この映画をみながらそんな主人公がすごく羨ましいと思ってしまった。「すごく人間してる!」と思った。

わたしももっと人間したいなぁ、と思ってしまう。土曜日の午後。また月曜から金曜までデスクワーク仕事をしたら、そういう身体性?人間らしさ?が薄れてきてしまうだろう。金曜日にはすっかり社畜化された人間でない何かになってしまっているのではないか、といつも怖い。でも、できるだけこの映画のような感覚を無くさないように、居たいと思う。

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