アメリカ大統領のお財布事情

初代大統領George Washington。 アメリカ政府の礎を作った、建国の父。 それでけじゃなく、「自腹を切りながら先頭に立ったリーダー」だったことを最近知りました。

大統領になる前は「Commander in Chief」(最高司令官)としてイギリスを相手取った独立戦争の指揮をとりました。その当時は「General Washington」と呼ばれました。

最高司令官の任を受ける時、General Washingtonはこんな風に言ったそうです:

「報酬はいりません。ただ、諸経費だけ、払って欲しい。」

Washington大統領は多くの文書記録を残していて、Library of Congress(国会図書館)に綺麗に整理されて残されています。いつかオリジナルを見てみたいですが、スキャンされたファイルをブラウジングするだけでも十分、興味をそそられます。

まず、なんて几帳面な方だったんでしょう。毎日の購買の記録が細かな美しい手書きのノートに残っています。

NPRでこんな話にまとめられています。”On July 4, 1776, George Washington bought a broom.” 1776年7月4日はアメリカが独立宣言した大事な日。独立宣言文の作成に参加してなかったWashingtonはどこかで他の大事な仕事をしてたのでしょう。

ちょっと読みづらいのですが、7月4日はこんなものを買ったみたいです:三種の肉(マトン・牛肉・豚肉)、野菜(じゃがいも、キャベツ、ビーツや豆)、そしてロブスタ。(ちなみに肉ではマトンが一番安い。Washingtonはマトン好きだった、とどこかで書かれてました。倹約家だったのかも。)また、壊れた「Chariot」(馬車?)の修理費用もその日に支払ったようです。たくさんのご馳走は誰と食べたんでしょう?

その翌日も同じように三種の肉、加えてチキンも買っているみたいです。さすが、司令官。肉食系男子だったんですね。

他のページに「床屋」というのがあって、あの有名な白い髪はカツラじゃなくて地毛だったのかも!と分かります。

細かくは見切れないのですが、使用人に払った賃金、様々な食材や日用品の購入、きっちりと記録されています。スキャンされた文字が読みにくいものが多いけど、軽く感動を覚えます。スタッフに任せず、自分で一個一個、書いてたんですね。えらい。(さすがに大統領就任後はスタッフの手で記録されてましたが。)

独立戦争前からの記録も多々残っていて、彼の優秀なビジネスマンぶりが伺えます。不動産を持ち、イギリスから物資を輸入し、財を築いてました。真面目でみんなの信頼を集める、リーダー素質あふれる方だったんじゃないか、って思います。

そうして積み上げた個人の財産を、惜しげなく戦争中の任務遂行に費やしました。

独立戦争は1775年から1783年まで8年間、続きました。その間、給料ゼロで財産は目減りする一方。ドキドキしたり、心配することって、あったんでしょうか。

やっと戦争が終わった1783年。積もり積もった経費の精算申請(8年間で92ページ)を、当時できたばかりの財務省に提出しました。合計$160,074。当時の通貨が独立前後で違ったりもして、正確な数字ではないですが、今のお金で数Millionドル(=数億円)にのぼると試算されています。

個人で数億相当を負担して、無事戦争も終わり、いよいよアメリカが独立国としてスタートしました。

新しい国のリーダーにWashingtonは選ばれたのですが、最初は大統領としてのお給料も断ったそうです。でもそれでは大統領制の健全な発展にならないとの説得に応じ、給料の導入に OKした、と。

初代大統領の給与は$25,000、当時は相当の大金だったと思います。ただ、ホワイトハウスがまだなかったので、自宅や自分のスタッフは引き続き自己負担でした。(ホワイトハウスおよびそのスタッフを使用できとのは二代目のJohn Adams大統領以降。)

「大統領のお給料」は法律で決められています。

一つは「自分で自分のお給料を上げてはいけない」という点。憲法第2条に書かれています。

二つ目は具体的な給料の数値。United States Code第3部、Section 102 (“Compensation of the President“) に規定されています。

Washington大統領の時代から今日まで、給与の推移はこんな感じ:

1789年 (Washington大統領以降) $25,000
1873年 (Grant大統領以降)           $50,000
1909年(Tuft大統領以降)            $75,000
1949年(Truman大統領以降)       $100,000
1969年(Nixon大統領以降)          $200,000
2001年(Bush(息子)大統領以降) $400,000

一番直近の$400,000への倍増は、その前任のClinton大統領の時に決められていました。残念ながら「お給料を自分であげてはいけない」という憲法の規定があるので、彼には適用されませんでした。

でも今度Hilaryさんが大統領になったら、「あの時あなたに大統領給与を上げてもらって、本当に良かった!」ということになるんでしょうね。

また、 1949年以降、毎年$50,000の経費予算、その他接待予算も認められていて、公務執行上の諸経費が請求ができるようになっています。(たとえばミッシェル夫人のお洋服とか?)

どんな経費請求をしているのか、調べてみたいものです。

ちゃんとレシートもつけてるんでしょうか?
うちの旦那のように、ペタペタとレシートをノートに貼り付けておくのか?Washington大統領のように手書きのメモなのか、全部デジタルなのか?
自分でやってるのか、どこまでスタッフに任せているのか?
歴代大統領はどうやってハンドルしてたのか?

オバマ大統領は年末年始を家族でハワイで過ごすことが多いのですが、その費用はどこまでが個人負担でどこからが公費なんでしょう?公費負担が多いぞ!とよく文句言われてますが、出費の内訳ってどこに提出されてるんでしょう?

公的記録なので調べようと思えば全部わかるはずです。

時間があったらどこかで見てみたいな〜。

法律話とはちょっと違いますが、あまりに面白かったので書いてみました。

読んでいただき、ありがとうございました。

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