見出し画像

ギャラリーレポート 東京都現代美術館

ブログの再掲です 遊びに来てね
東京都現代美術館に行ってきたので感想。
美術館レポート 2022/1/2
東京都現代美術館
https://www.mot-art-museum.jp/

今回は清澄白河にある東京都現代美術館に行って丸一日かけて三つの展示を観覧した。疲れたが最高だった。
クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]
Viva Video! 久保田成子展
MOTコレクション Journals 日々、記す vol.2

以下感想
マークレー:「音」を聴覚を使わせずにどのように翻訳し表現できるかを一貫して展示していたように思う。その手法はサンプリングやコラージュを中心として実に様々だが、前回記述した渋谷公園通りギャラリーの「語りの複数性」と通底したものを感じた。つまり、我々は音を耳のみでとらえるものと勝手に分類しているが、口話がまさにそうであったように、そもそも音には聴覚以外でもとらえる要素があるのではないか。開いた口や体の動き、漫画のオノマトペ、物質としてのレコード、それ自体が音の存在を知覚させるものだという大きな気づきがあった。
メッセージ性が強く、当たり前に思っていたことを考え直す素晴らしい展示でありながらも、ビジュアルとしてもわかりやすい展示だったように思う。こういうのをキュレーションが良いというのかもしれない。最近知り合いが「美術館に行ってまでして思考を要求されたくない、ただ美しいものだけが見たい」と言ってたので、なおさらにそのことを考えたりした。

久保田成子:ヴィデオ芸術というビデオ作品とその液晶を取り込んだ作品の展示の先駆者の展示。正直、よくわからない点が多い。彼女の歴史と、彼女の思惑と、当時の時代性がかなり入り組んだ展示になっているように感じたため、何がメッセージなのかよくわからなかった。もっと言えば、素人の自分がツッコミを入れてみたくなるような展示もあった。
恐らく、自分が理解できない芸術の領域はまだ多く存在し、彼女はその一部であったということなのだと思う(展示自体は美しいものが多かった)。ほかの二つの展示は感銘を受けるものが多かったが、実は学びはそちらでなく、この展示にあるのではないかと帰り道で考え直した。
だれかにフルクサスとかこの人について聞いてみようと思う。

Journals:「何気ない日常を切り取る」をテーマにした複数のアーティストの複合展示。面白すぎて二周する。その中でも特筆に値すると思ったのは康夏奈による「花寿波島の秘密」という、巨大な逆円錐型の内部に描かれた島と海の様子を作品内部に入り込むことで鑑賞する作品である。二次元の絵を円錐内部に貼っただけの作品であるはずなのだが、海に潜ったときの恐れ、驚き、美しさ、落ち着きなどが、VRによる海底探索よりも鮮明に感じられ、衝撃を受けた。あと、シンプルに深呼吸すると気持ちがよい。最近参加している瞑想、ここでやりたいなと思った。
最後の宮島達男による無数のデジタルカウンターの展示も最高だった。

全体:ブラウン管TVにアンビエント的な映像が流れている展示が多く、カセットやスケルトン等、80-90のポップカルチャーをオマージュするvaporwave好きとしては最高な空間だった。ミュージアムショップもかなりスタイリッシュかつモードなアイテムが多く、ここだけで一時間過ごせる。「鱗片堂」という最高にgoodなステッカーシリーズも発見できた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?