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縁と金魚と平井

平井駅北口の再開発が行われ、2025年初春には新たな商業施設やマンションが生まれるとのこと。
地元の人が再開発に関心を持つきっかけづくりとして、平井に縁のある約200名の方々が金魚の絵を描き、それらは無機質な工事現場の壁を見事に彩る。

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東京から離れて半年以上が経つけれど、私もその企画にお声がけいただき、久々に色鉛筆を手に取る。
どんな金魚にしようかあれこれ悩んだ結果、このような金魚が生まれた。

コンパスでいくつもの円形を描き、七宝柄をつくる。
「初春」ということから、春の始まりを感じさせるような若々しい色を選んだ。

東京には13年住んでいたことがあり、その間、一番長く住んでいたのは江戸川区だった。
同じ江戸川区と言っても、平井に足を運んだことがあるのはほんの数回なので、偉そうに語ることはできないのだけれど、ゆるやかで、なんだかずっとここにいられそう、という雰囲気が漂っていたのを覚えている。
「背伸びをしなくていい街だ」と思った。

最近よく思うのは、「縁」というものは切ろうと思っても切れない時があるし、逆に、どんなに切りたくなくても、切れるときは切れてしまう、ということ。物も人も場所も。

中国から日本に金魚がやってきて、日本人にとって馴染みの生き物となったことも、私が日本に生まれたことも、江戸川区に住んでいたことも、今回の企画に誘っていただいたことも、すべて偶然ではある。
けれど、東京から離れた今でも、それぞれのひとつの円が重なり合うようにして、つながっている。

今回、金魚の絵に使用した七宝柄は、いくつもの円形が永遠に繋がる柄であることから、ご縁、円満、調和、などの意味があるそう。
どんなに再開発が進んでも、平井という街の良さを残したまま、古い縁も新しい縁もつながり、この街がずっとあり続けますように、という願いを込めて、金魚を描かせていただいた。

文責:ミヅキ

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