0707_症例から学ぶ上肢_手指機能への介入

体幹・下肢は上肢に影響する?:上肢・手指機能を活用するための解剖・運動学①

先日のセミナーの内容のダイジェスト版です。noteなどSNSの普及によって、知識面での情報は得やすい時代になってます。

 

せっかくなので共有できる部分は、僕のnoteを読んでる方に提供できればと思っています。

 

知識だけあっても、いざ患者さんを目の前にするとその知識の数%しか活かせなかったりします。もちろん知識は大切です。でもせっかくならまず今持っている知識をしっかりと有効活用することが大事だと僕は思っています。

 

僕のセミナーでは必ず実技を取り入れています。介入する側だけでなく、される側の体験をすることが大事だと思っています。
される側に立って、初めて気づくことが実は沢山あります。

 

「患者さんってこんな風に感じるのかな」
「何がしたいかよく分かんない…」
「すごいやりやすい!!!」

 

などなど受け手に立って、初めて患者さんの体験している世界に近づくことができると考えています。

 

だから今回の内容も参加している人とこの記事だけを読んでいる人では、体験を伴っているか、いないかでイメージは大きく変わるかもしれません。でもまずは知識の共有ということで暖かく見守ってください。

 

ということで今回のテーマは、

体幹・下肢は上肢に影響する?:上肢・手指機能を活用するための解剖・運動学①

 

です!!体幹・下肢、姿勢制御は大事だいじと言われますが、実際どんな仕事をしているんでしょうか?一緒に考えてみましょう!


【リーチ動作の4相】

では上肢・手指がADL場面に参加する際に必ず必要なリーチ動作を考えて見ましょう。

 

上肢機能は物体の操作に特化した身体部位ですね。そして操作をするためにはまずその物体を把持しなければ始まりません。

 

【リーチの4相】

4相と言っていますが、0相もあるので、実際には5相です(笑)
歩行や立ち上がりもですが、分類は様々ありますので、まずはみなさんそれぞれに理解しやすいものからでも良いと思います。

⓪認知相:リーチの対象となる物体の認知、姿勢の準備

①屈曲相:肘の屈曲

②移行相:肩屈曲+肘伸展+プレシェイピング(物体に合わせた手の形状を作る)

③伸展相:肩屈曲+肘伸展→物体へ到達

④安定相:物体の立体認知と次の行為への準備

とざっくり書くと上記のようなイベントが各相で起こります。
①屈曲相や②移行相は実際の環境(テーブルが前にあるかないか、テーブルの高さ)によってパターンは変わるので、もちろん誰でも必ずこのパターンではありません。

それは歩行などでも同じですよね。歩き方は人それぞれに違いはあります。リーチも同様です。

 

【リーチ動作における身体各部位の役割】

まず体幹・下肢の筋活動により座位姿勢の安定と同時に肩甲骨を安定させるように筋活動が起こります。
姿勢制御でよく聞く予測的姿勢制御(APA:Anticipatory postural adjustments)というやつです。体幹の安定性(コアスタビリティ)については後述します。

 

そして上肢を動かしだす前に肩甲骨の安定(Scapula set)を作れているのか?が大切です。肩甲骨を脊柱側に引きつけて上肢の重さに負けずに安定させられているか?ここが難しいですよね。脳卒中の方では麻痺側上肢に引かれて、肩甲骨が下制・外転・下方回旋していたり、逆にその重さに抵抗するために過度に挙上していたりします。でも肩甲骨〜上肢に介入しても、なかなか上肢挙上時の肩甲上腕リズムの崩れの改善は難しいことが多いですよね。

 

姿勢制御における体幹・下肢の位置付け 

頭頸部や肩甲骨を自由に動かすためには、その土台となる胸郭がしっかりせないかんわけで、そして胸郭がしっかりするためには腰椎・骨盤がしっかり、骨盤がしっかりするためには下肢がしっかりとしないと本来の仕事ができないんです。

 

いくら車のボディを良くしても、タイヤが一個パンクすれば、真っ直ぐ走れず車本来の性能が引き出せないのと似ていますね。

 

筋が力を発揮するためには、筋の付着している起始・停止が安定している必要があります。膝伸展を例にして以下に図で説明してみますね。

 

【筋の収縮】

大腿四頭筋は4つの筋の複合体で付着部が異なるので、分かりやすくするために大腿直筋(骨盤の下前腸骨棘・脛骨粗面に付着)とします。いわゆる膝伸展では骨盤に向かって脛骨が引っ張られ膝の伸展が起こりますね。これ当たり前のようですけど、これができるのも姿勢制御のおかげです。

 

筋はただ中心に向かって短くなろうとするので、姿勢制御が起こらずただ大腿直筋に電気でも流して強制的に収縮させてみるとしましょう。

 

多分こうなります。

 

このように関節包は破れ、つま先で喉元を突く可能性が出てきますね。

 

あ、上半身は姿勢制御が起こっちゃってました。

 

つまり座位で膝を伸展するには骨盤側が前方に引かれる力に対して負けずにその位置を保持する必要があります。

 

では逆に下腿の方が固定として作用すると大腿直筋の収縮で何が起こるでしょうか?

 

上図のように骨盤を前傾させる作用として働きます。立ち上がりの際にはこの作用が重要になりますね。

 

ただこの場合には下腿を地面にしっかりと安定させるための筋活動が必要になりますね。そのあたりの話はまた今度。

 

ただこの図でも体幹の姿勢制御が行われています。

 

もし体幹がグラングランで大腿直筋に急激に電気を流して収縮させると、、、

 

 

こうなるわけですね。

下手すると、鞭打ちになりそうなわけです。


骨盤と下肢の関係については以下の記事をご参照ください。

【その②】セラピストが直したくなるポイントNo.1。骨盤後傾について考えてみる。(記事にリンク)

 

では次回は、骨盤〜胸郭をしっかりすためのコアスタビリティについて書いていきます!!!

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