権力を笠に着る

ずっとずっと悩んでいたことに、決着をつけた。

長い間、それが嫌で嫌だたまらなかった。その場所へ近寄りたくも無かったし、雰囲気や今まであった出来事などを考えるだけでも苦痛だった。

僕はどちらかと言うとポジティブな性格だと思っているので、このことを”良い方向”へ受け止めようと努めたこともあった。これも仕事の1つだし、経験や実績を積むことが出来ると前向きに考えようとしたこともあった。

けれど考えれば考えるほど「考えたくない」という思いに逆らうことが出来なくなってきて、そのことが僕をとてもとても暗い気持ちにさせた。いついかなる時でも片隅にそのことが居座っていて、まるで威嚇するかのように僕を睨んでいるようだった。

ある日仕事帰りにいつものように夜散歩をしていて、ふと「こうしてみたらどうだろう?」と思い付いた。いままでいろいろ悩んだけれど、現状ではこれがベター(というには程遠いかも知れないけれど)な”落とし所”なんじゃないかと気付いた。

僕にとっては閃きのようなその考えを現実に落とし込むため、いろいろなことを想定してみる。実にいろいろなことを想定した後、「これなら現実的だろう」というところまで詰めることが出来た。

ある夜、それを実行に移す。その時のシチュエーションは僕が想定していた以上に理想的で、懸念していた抵抗もほとんど無く想定通りに目的を達成することが出来た。

帰り道にガッツポーズをするんじゃなかという予想は外れ、複雑な気分になった。それは相手に負担をかけてしまうことによる負い目や後ろめたさの他に、僕が基本的には行使しないようにしている”権力を笠に着る”行為だったことによるものだから。

「上司が部下に業務命令を下す」ので組織としては何ら問題は無いけれど(だから話はほぼスムーズに進んだ)、そうはシンプルに割り切れない気持ちになったことは否めない。ただ(自分でもちょっと驚くほど)明らかにメンタルが安定したと感じたことも、事実ではある。

「能力が低いのだから仕方無いじゃないか」とは、ただの言い訳なのだろうか。

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