笠原正雄

<小説作品>小学生時代に体験した事に基づいた作品『小学生がみた太平洋戦争』と、その姉妹…

笠原正雄

<小説作品>小学生時代に体験した事に基づいた作品『小学生がみた太平洋戦争』と、その姉妹編『太平洋戦争を生きた少年の70年』を小説家になろうに投稿しています https://ncode.syosetu.com/n9491hj/

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幼児とコンテンツ

今日、テレビやスマートフォンによって誰もが気軽に動画などのコンテンツを楽しめるようになりました。情報技術の発展が便利かつ快適な日常をもたらした一方で、負の側面にも目を向けなければならないと思います。 私たちがテレビやスマートフォンの動画を楽しむという構図を、「私たち」と「自動販売機のコーヒー」との関係に置き換えて考えてみましょう。 数多くの動画の中から自分の好きな動画を選択するプロセスは、自動販売機の前で「好みのブレンド」「好みの濃さ」「好みの量」「好みの温度」のコーヒーを

    • 光と音の先駆者:エジソンとベルの発明

      「エジソンの代表的発明は?」 という問いかけに、たくさんの人から 「電球!」 という答えが返ってきます。 これも正解ですが、エジソンの発明はそれだけではありません。 エジソンの代表的発明としては他に 蓄音機と映画鑑賞装置 があります。 蓄音機の発明は、耳から入る情報である音を記録する技術の礎になりました。 映画鑑賞装置の発明は、目から入る情報である動画を記録する録画技術の礎になりました。 また、エジソンは電話機も作っていましたが、特許出願の際に書類不備があ

      • ヒトの赤ちゃんはどこがどう違う?

        ヒトの赤ちゃんと他の哺乳類の赤ちゃんとの違いは何でしょうか? 解答を述べさせていただきますと、 サルなどの高等哺乳類の赤ちゃんは、巣を必要としない離巣性(生まれてすぐ目を開け、歩くことができる性質)であるのに対し、ヒトの赤ちゃんはネズミなどの下等哺乳類の赤ちゃんに近い就巣性(自力で生きていくことのできない状態で生まれる性質)です。 高等哺乳類の赤ちゃんとヒトの赤ちゃんの間には図1と図2に示すような大きな差があります。 高等哺乳類の赤ちゃんはシカやウマの赤ちゃんに見られるよ

        • 絵本とテレビのどちらを選ぶ? #子育て

          幼児には絵本に多く触れさせるべきだということを前回の記事で述べました。 絵本は自分の好みに合わせてマイペースに楽しめるからです。 今回は、子育てに絵本を取り入れる利点について書いていきたいと思います。 その利点とは、幼児の「感性」、「創造性」、「努力持続性」を育むことです。 絵本は静止画の世界であり、じっとして動かないですよね。幼児たちは頭の中で、静止画を連続的な動きのあるシーンに置き換えています。 絵本の世界は、ゼロ歳児のころに住んでいた世界、つまり誕生後に経験した長

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        幼児とコンテンツ

          鳥に学ぶ子育て

           大阪府箕面市の私の自宅から歩いて僅か数分の所に水草が生い茂り沢山の樹々に囲まれた池があります。    渡り鳥であるカモやサギなどが、1、2週間、羽根を休めて飛び立っていきます。  この自然美豊かな池にバンというクイナ科の鳥のカップルが数分前から住みつき、子育てに励んでいます。  大きさはハトと同じぐらいで全体は黒っぽく少し茶色がかった色のとても可愛い鳥です。  エサとなる小さな虫や草の実を探して、いつも忙しく泳ぎまわっていますが、ぽかぽかした小春日和の日など、スイー、ス

          鳥に学ぶ子育て

          人の人たる所以を三つの条件から再考

          人の人たる所以は、一般に (i)  言葉を使うこと (ii) 道具を使うこと (iii) 火を使うこと とされています[1]。本文では、上記三つの条件について考えてみましょう。 (i) 言葉について  ヒトについで知能が優れるとされるクジラは、さまざまな形で会話をしていることが、多くの研究者によって指摘されています。また、クジラと並ぶ知恵者といわれるカラスも会話をしていると考えられています。  文献[2]では、“クジラは音声をコミュニケーションに用いていることは事実で

          人の人たる所以を三つの条件から再考

          人の人たる所以(下)

           万葉集の歌人の中で大伴家持(おおとものやかもち)は人一倍コミュニケーションにこだわっていたように私には思われます。私たちはここで、我が国の心のふるさとともいうべき万葉の世界からのメッセージに耳を傾けてみましょう。  前述の歌に詠まれている細石がそうであるように、シンボルは多くの歌において、良きシンボルとして歌われている。“このシンボルはシンボルとして適切ではないよ”、という立場から詠まれている例を万葉集の中に見出すことは本当に難しいことです。しかし、万葉を代表する歌人、そし

          人の人たる所以(下)

          人の人たる所以(上)

          人の人たる所以は (i) 言葉を使うこと (ii) 道具を使うこと (iii) 火を使うこと とされています。  しかし、動物行動学の書物を紐解いてみると、これらの条件を全て満たすのが人であるという主張は、十分な説得力がないように思われます。 これらの条件を持つ他の生き物として、  シャチ等は数十等単位のファミリー内で幾つかの言葉を使って互いにコミュニケーションを行っています。  チンパンジーは木や石を道具代わりに使います。  ミツバチはスズメバ

          人の人たる所以(上)

          『万葉集』に思う

          (Ⅰ) 蘇我赤兄(そがのあかえ)にそそのかされて謀反の罪に問われることとなった悲劇の皇子、有間皇子(ありまのみこ)が紀州に護送される道中で詠んだ次の歌は、私達の心に重く悲しく響いてきます。  そして同時に“道具”というものの本質を見事に教えてくれています。  一縷の望みを託す神に捧げる飯を盛るため、ぜひ美しい容器がほしい、と皇子は願います。しかし皇子は護送される身、持ち合わせている由もありません。ふと目の前を見ると見事な椎の木が、大空に向って枝を伸ばしているではありませんか

          『万葉集』に思う