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#1 非日常を求めた日

初めまして。
私は地方国立大に通う大学生です。

今回は非日常を求めて、心が求めるままに電車旅に出た高校生時代の私のお話です。

話始めるにあたり、簡単な自己紹介をしましょう。
上にもあるように私は現在大学生です。
サイクリングとカメラが好きで、東京の高校に通っておりました。
自転車にハマったのは「練習曲」という映画に影響されたためですが、その話はまた今度時期が来たら話したいと思います。

本題に入りましょう。

当時の私

高校3年生で大学受験を控えていた当時の私は大きなストレスに直面していました。
コロナウイルスという未知のウイルスが突如として一瞬に世界中に広まっていき、1学期の授業は前代未聞のオンライン授業で始まりました。
大事な時期に2か月間も学校に行けず、ただただ自宅で勉強する日々。
元々旅行やサイクリングが好きだった私はこのストレスに耐えられませんでした。

そんな中、勉強の休憩中にふとインスタを開くと自然の中を駆け抜ける只見線の投稿が流れてきました。
元々キハ40という気動車が好きだった私ですが、東京近辺では走っておらずなかなかホンモノを目にする機会はなかったものの、その日から日に日にローカル線に対するあこがれが強くなっていきました。

しかしこの年の3月にダイヤ改正で只見線からキハ40が離脱することが決定していてダイヤ改正から既に2か月が経っていました。

それでもTwitterやインスタではキハ40の投稿がまだまだされていて、完全に離脱する前に行ってみたいと強く思うようになりました。

作戦決行

6月中旬、チャンスがやってきました。
受験生で休校だったため自宅に引きこもっていた私は、1日だけ只見へ行こうと作戦を練っていました。
しかし、当時のコロナ情勢では受験生が公共交通機関に乗って遠くに行くなど言語道断でした。当然親が許してくれるはずがありません。
そこで私は1つ嘘をつきました。

「1日リフレッシュがてらサイクリングに行ってくる」と。

サイクリングなら密になることも少なく、常日頃勉強もしていたことから許しが出ました。

作戦決行です。

今回の目的は只見線(キハ40)の乗車及び只見町の観光です。

そのためには、
始発の新幹線で大宮から浦佐へ行き、小出駅発の只見線の始発(07:58)に乗る必要がありました。

小出駅の時刻表(2020年6月)

只見線は本数が少なく、次発が13:11だったため何としてでも始発に乗る必要がありました。

まだ町が眠っている中、悟られぬように駅に向かい初めての新幹線旅が始まった。
平日だったため初めて目にする新幹線通勤をするサラリーマンに囲まれ大宮から高崎などを経由して朝日に照らされながら浦佐へ向かう。

見知らぬ地にワクワクしていた。
親に嘘をついたことをドキドキしていた。
なによりも思い付きで行動できる自分にびっくりしていた。

浦佐駅に着いてすぐに上越線に乗り換える。
在来線ホームに着くと、制服を着た高校生たちが通学のために立っていて車内にも様々な制服の高校生が多くいた。
東京から一歩出るとコロナの規制が緩和されていることに驚愕し、うらやましく思った。

小出駅に着くとホームの向かいには気動車特有のエンジン音を唸らせたキハ40が待っていた。

写真撮影もほどほどに念願のキハ40に乗り込んだ。
ディーゼル特有の香り、振動、音、すべてを体で感じながら只見線旅がスタートした。

発車

定刻通り小出駅を出た只見線。
2両編成で乗客は私と地元民らしいおじいちゃん、同じ匂いを感じる乗り鉄らしい人の3人だけ。いかにもなローカル線である。
川を渡り、田んぼの中を走り抜ける只見線。
東京では絶対に見ないような簡素な無人駅をいくつか通過すると山の中へ入っていった。

大白川駅まで来ると景色は一変していた。
ホームの反対側には沢が流れていて、周りに家は見えない。
さらには次の終点只見駅までは30分間ノンストップである。

大白川駅での車窓

いくつもの長いトンネルを通る。
このときには地元民らしいおじいちゃんは降りていて、車内は私ともう一人の乗客のみ。それぞれ別の車両に分かれていたため、暗いトンネルの中で蛍光灯に照らされた車内の中では私一人だけだった。

無機質なトンネルの壁に囲まれながらも爆走する列車。

周りの刺激から隔絶された私は、この時間を永遠のように感じた。
しかし、普段受験勉強で神経をすり減らしていた私にとっては、この時間が怖くも心地よくも感じた。
今考えると、私に必要だったのは外界から隔絶された時間だったのかもしれない。

トンネルを抜けると、待ちに待った只見駅に着いた。
大白川駅で雲が多かった空も、気づくと心も天気も晴れていた。


書いてみて長くなりそうだと気づいたので何回かに分けて書こうと思います。

今回はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございます。




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