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早春の第32軍司令部壕をブラタモリする|Report

ボクを発射台に乗せて 飛ばしてみてごらん♬ by甲本ヒロト

それじゃあ第32軍司令部壕の各坑道の情報を、興味がある人だけにこっそり教えましょう。実際に歩いているわけじゃないんでそこんとこよろしく(立ち入り禁止です)。

【出典】産経ニュース

第1坑道A区間

推定延長:L=64.4m
位置:首里城公園内緑地~歓会門~木曳門(第2坑道合流点)
地質:クチャ層と推定される
構造:坑口から44.5mまでは斜坑、それより先は水平坑である

  • 坑口は県営公園区域の龍潭安国山エリア(緑地)に位置する。一帯は県指定・史跡「龍潭及びその周辺」である。坑口周辺には32軍のトーチカが点在する。

  • 坑道は県営の歓会門前から一部は国営公園区域を通る。一帯は国指定・史跡の「首里城跡」である。

  • 坑口周辺は首里城公園区域及び県の文化財・史跡であり、壕整備に向けた調整が必要である。

  • 坑道自体は収容施設も少なく、公開という視点からは魅力に乏しい。

第1坑道B区間

推定延長:L=137m
位置:木曳門~第4・5坑道に合流する
地質:クチャ層と推定される
構造:水平坑

  • 国営公園区域、県営の城郭周辺エリア(緑地)を通り、都市計画道路・首里城線、第一種低層住宅専用地に至る。ほぼ国指定・史跡「首里城跡」である。

  • 壕を特徴づける収容施設が集積しており、公開には魅力的な場所である。考古学的価値も高いと考えられる。

  • 軍の撤退時に一部が爆破されており、地盤の崩壊が予想される。

  • 落盤が激しい場合、現状保存としては公開の魅力が薄れるため、公開手法の検討が必要とされる。

第2坑道

推定延長:L=90m
位置:城西小学校南側緑地~木曳門
地質:ニービ層(坑口から第3坑道合流点付近)、クチャ層(坑奥側)
構造:坑口から第3坑道手前10mまでは斜坑、それより先は水平坑

  • 坑口は城西小学校内に位置する。

  • 坑道は県指定・史跡「園比屋武御嶽」国指定・史跡首里城跡」を通る。県営公園・サービスエリアになっている。

  • 坑道中央部と第1坑道合流部(未調査)に崩壊を確認。

  • 坑口は城西小学校内にあるため、教育環境に影響を及ぼす恐れがある。

  • 坑道には全体の26%の施設があり、第1坑道に次いで保存・公開の重要性が高い。

  • 公開価値の高い第1坑道と第3坑道を結ぶ要線でもある。

【出典】琉球新報

第3坑道

推定延長:L=45m
位置:城西小学校南側緑地~守礼門~第2坑道に合流する
地質:ニービ層
構造:坑口から守礼門までは斜坑、それより先は水平坑

  • 坑口は城西小学校内に位置する。

  • 坑道は県指定・建造物「旧首里城守礼門」、史跡「園比屋武御嶽」を通る。坑口は城西小学校内にあるため、教育環境に影響を及ぼす恐れがある。

  • 坑道には司令長官室、参謀室などがあり、戦争当時は重要な位置づけがあったと思われ、学習や見学の価値は高い。

  • 文化財法は地下にも及ぶが、特に第3坑道の場合は通行量の多い守礼の門の真下を通るため、万全の安全対策が必要とされる。

第4坑道

推定延長:L=45m
位置:首里城公園と県立芸術大学にはさまれた住宅地
地質:琉球石灰岩
構造:不明

  • 坑口、坑道ともに第一種低層住宅専用地域及び首里金城地区都市景観形成地区に位置する。具体的には、坑口は民家敷地内にあり、坑道上は現在空き地だが、 宅地開発の予定がある。

  • 坑口は民家敷地内にあり、調査や整備の際には用地の買い上げも含めた補償が問題になると予想される。

  • 地上部の建築物に対して法的な耐震診断に基づく安全確保の処置が必要とされる。

  • 住宅地と接する立地であり、道路、騒音、景観などにおける周辺住民への影響に配慮しなければならない。

第5坑道

推定延長:L=177m
位置:県立芸術大学北側斜面~第1・4坑道に合流する
地質:琉球石灰岩(坑口から75m)、クチャ層(坑奥側)
構造:坑口から150mまでは水平坑(上り勾配3%)、それより先は斜坑

  • 坑口は南向き崖斜面で、第一種低層住宅専用地域及び首里金城地区都市景観形成地区に位置する。坑道上は同様の用途地域で、市道赤田寒川線が通り、県立芸大 、民間の宅地がある。周辺はまとまった自然緑地だが、開発により緑が失われていく状況にある。

  • 坑口周辺の法的規制からみて、まとまった整備が最も容易な場所である。

  • 首里城公園の規制を受けない利点があるが、反面、公園から最も隔たっており、公園利用との連携には手法の検討が必要である。

  • 坑道内には湧水が流れ、壁・床面状態はあまり良好でない。

  • 調査で崩壊部分が確認され、地上部に影響を及ぼす恐れがある。

  • 周辺は開発圧力で緑地が減少しており、壕の整備をめざす場合、緑地保全や景観形成を図ることが望まれる。

  • 地上部の建築物に対して法的な耐震診断に基づく安全確保の処置が必要とされる。

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