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南米大陸をかけぬけた男|リベレイター 南米一の英雄シモン・ボリバル|Review

『LIBERTADOR リベレイター――南米一の英雄シモン・ボリバル』
監督アルベルト・アルベロ、脚本ティモシー・J・セクストン
レビュー2022.05.15/映画★★★☆☆

シモン・ボリバルは南米をかじったことがある人にとっては有名人だ。通貨や地名など彼の名にちなんだ命名は多い。

ただ本作では、ボリバルが何をどこまで達成したのかがよくわからなかった――この感想に尽きる。視聴前か視聴後に関連書籍を読まなければ、物語の背景やボリバルの政治思想、彼の業績のディテールと映画のシーンとの整合性がずっと棚上げされたままだろう。そして私は読んでいない。ボリバルはすごい・・・らしい、という認識のままフリーズだ。

学んだ点。アイルランドからの援軍が描かれていた。時代は大英帝国がアイルランドを一方的に併合した頃なので、自由や解放などアイリッシュにとって心揺さぶられるものが、この地にあったということか。

気になった点。アンデス越えのシーンがあったが、雪山を越えるほどの難所を実際に通ったのか疑問に思った。史実は知らないが、オリノコ川からボゴタに行くなら現在のビジャビセンシオかビジャヌエバあたりまで船が使えそう。そこからの山道は雪が降るほどの標高ではないような気がした。

2014年公開のスペイン・ベネズエラ合作。知っての通り、ベネズエラはかなり厳しい政治的・経済的情勢下(ほとんど破綻といえるレベル!)にあって、映画制作なんて余力があったのかなって素朴に感じてしまった。しかも映像はかなり重厚で、制作陣や出演者も結構な水準のような・・・。

本作が成立したということは、スペインの政府援助は続いているということだろうか。スペイン王国からの独立過程で殉死してしまった英雄を扱う映画としては、ちょっと皮肉な金策のようにも思えてしまう。裏のテーマで銀行屋の腹黒さをあぶり出していただけに、余計にね。



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