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猫にホステス…クラバウカーマン

連れ合いが愛用するグレーの車
走行距離が初任給を越えてきた。
年式は古くない、車検は今回が3度目。
だがもう18万キロも走っている。
趣味はドライブだ、なんてことはなく
無駄に縦長なバーチー内を
通勤で走っただけだ。

メンテナンスはディーラーまかせ。
スタンドの洗車機は
前方から回転しつつ迫り来る
ムックもどきが苦手につき行かない。
休日の午前中に花壇を手入れした後
バケツ水片手に雑巾で車体を拭く。

断っておくがコレは私(雌)の話ではなく
花壇の下りから手洗いにいたるまで
女子力高めな連れ合いのおなはしだ。

そうやって大切に乗ってきた車だが
走行距離を考慮すると
買い替え時期であるのは間違いなく
新車購入に向けて心をひとつにする。

もろもろの商談を終え
翌日は納車という日の夕暮れ時。
下取り回収される車が柿色に染まる。
彼は最後の洗車をはじめるため
バケツに水をためていた。

その背中を眺めながら、私は話しかけた。
「愛情込めて 毎週洗ってたよね。
 きっと車の妖精が語り掛けてくるよ。」

勿論、彼はキョトトトトンと
瞳孔散大気味で振り返る。
仕方がないです。
彼、ワンピースを知らないですから。

新車に乗って帰宅した彼。
降りるなり真顔でこう言った。
「あの車とお別れするとき
 妖精の声は聞けなかったよ。」

素晴らしいボケの
ロングシュートをきめてきた。
やるじゃん。My Buddy.com

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