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猫にホステス・・・他人の空にうわの空

雉トラ柄の猫2匹が同居している。
見た目はそっくりのようでいて
個性的な違いもあったりするので
名前を間違えることはまずない。

というのは大嘘で
私はよく呼び名を間違える。
そもそも猫が
名前を認識しているかどうかは不明だが
明らかにキョトトンといった顔をされる。

しかもよくないことに
鬼籍に入った猫の名で呼んでしまったり
その事にすら気がついていないのだから
これはもう重症中の重症だろう。

毎度 間違えるわけではない。
研究結果によると
考え事が心に澱んでいる時などに
やりがちなのだ。
いわゆる「うわのそら」状態。

じゃむたん(左)とミュウ様。多分。

先日、食材の買い物をしていると
後ろから肩をたたかれた。
ご近所交流を殆どしない私は
このような経験が全くなかったので
驚愕の表情で振り向いてしまった。

「綿田部さん、お久しぶり。元気?」

私はすこぶる元気だったが、綿田部ではない。
人違いじゃないですか?と
ちょっとだけ陰キャ気味に返答した。

「えっ?ホント!ごめんなさい。」

こんな場面でウソついてどないやねん。
と、思いながら
逃げるようにキャッシャーの方へ。
しかしまだ、粘り気のある視線を
どこからか感じる。
マイバスケットを抱え
車に駆け込む気満々で
30m手前から
スマートキーのボタンを押した。
その時だ。

「やっぱり綿田部さんじゃない?
 髪型と車が同じだもの。」

私は うっすらと恐怖を感じた。
人違いを証明するために
運転免許証を見せようかと思ったが
新手の詐欺か、あるいは勧誘か。
世の中にはありとあらゆる
巧妙な罠が張り巡らされている。
この状況、丸腰で戦うしかない。

「あ、ちょっとすみません
 電話かかってきちゃって
 ハイ、どうも渋森田(偽名)です。」

着信があったフリをして
なんとか逃げ切ることに成功した。
他人の空似。恐ろしス。

昼間の出来事を脳内整理しながら
猫とジャラシで遊ぶ。あっ!
またもや呼び名を間違ってしまった。

空から聞こえるミュウ様の恫喝が
いまだ鳴りやまない。

著者 じゃむのアレ

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