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猫にホステス・・・タワー崩壊ナンス

事件が起きた日の朝は夏至で
夜明けの空が早々に色を変えていた。

暗闇から徐々に明るくなる
その一歩手前らへんが実に良い。
じっと見ていても飽きない。
飽きないけれども、腹はすく。

空腹を訴えるために
歯ぎしり絶賛公開中の
家政婦をおこしにかかる。

手っ取り早い方法は
キャットタワーを駆使して
ジャンピングとボルダリングと
ボリバリに音を響かせた柱での爪とぎ。
このフルコースをお見舞いせんと
小生は立ち上がった。
二本足じゃないけども。

がしかし、ここで異変が起きた。
築10年は経っている
このキャットタワーが
柱で爪を研ぐたびに
少しづつ窓際から移動しているのだ。

天動説から地動説へ。
そしてついに新たな宇宙観
タワ動説、ここに爆誕・・・なのか。
実に面白い。もっと研究してみよう。
ガリガリ。ダバダバ。ドヅドン。

「んもぉ~ポンちゃん。朝からうるさいで
 ぇ!えっ!を~っんなんじゃこりゃぁ~!」

天井で固定するための
野太いボルトが根元から折れてしまい
さらに追い打ちをかけて
小生がタワ動説の証明にいそしんだ結果
生命を宿したかのように
キャットタワーがお辞儀をしていた。

長年お世話になったからだろうか。
爪とぎ柱のあたりから声がした。
クラバウタワーマンの言葉が
心に語りかけてくる。

いやぁ~ もうムリっすわ~
これ以上触らんといてや。
あと、君なぁ。爪めっちゃ伸びてるで。
刺さったらピンポイントに痛いねん。
怒るでしかし。

家政婦のアレさんには
この言葉が突き刺さるはずもなく
おじぎ塔は 午前中に解体され
3日後には新しいタワーが設置された。

今も尚、大活躍中である。

著者 スコット山田

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