経理資格を取って経理マンに変わりたい君たちへ

私も米国公認会計士の試験をとった後、経理へキャリアをチェンジしたら1人である。齢34か35。
資格を取ったとしても30代半ばで未経験者採用は至難の技であった。

前後の詳細は省くが経理マンとしてやっと採用された先は某有名コンサルティング会社の一角であった。
と言っても契約社員。聞けばクライアントが米国会計基準での決算要員が足りないからそのコンサルにお願いしたという。
藁にも縋る思いで前職を出たかった私は飛びついた。契約社員だったが一年経験積んだらクライアントの金融機関が正社員として引き受ける、それは確約をとっているとのことだったので入社した。その後諸事情で採用されず転職することになったのだが。
聞けばデリバティブ会計担当だという。
デリバティブ?お年寄りを騙して先物売り捌く例のやつか?とは思ったがクライアントは日本のトップ金融機関だったしそこは安心だと思った。
そこに広がっていたのは膨大なファイナンスの知識。
何冊も自腹で本を買った。それこそ初級本から。
文系の自分はそれ以上理解できなかったが、何か自分が1段階も2段階も賢くなったような錯覚を覚えた。そしてファイナンスの知識を必要とする自分の担当分野が経理会計の最高峰の様な錯覚をおぼえた。その後数社金融機関に転職し、ファイナンスの知識を必要とする会計をこなせる自分に酔いしれた。

その後金融機関を離れた自分は愕然とした。
一般事業会社では金融商品会計の知識なぞ全く必要とされない。もし必要なら外注してもいいくらい重要度は低かった。
一般事業会社に必要とされる経理経験は売掛金、買掛金、在庫管理などなど。おおよそ金融機関には不必要な領域。

その後は割愛するが、これから経理を目指したい若者よ、一生金融機関で勤め上げる自信がないなら普通の会社で経理経験を積んだ方がいい。
特におすすめはメーカー経理、地方勤務も厭わないならぜひ若いうちに工場経理を経験した方がいい、工事経理は一般経理、原価計算、そしてプラントコントロールに関わる各種管理会計が学べる。
その後金融機関で働きたいと思っても潰しが効く。
なぜなら私みたいな金融機関でしか通用しない金融商品会計を長年やっている経理担当がいるから。
金融機関といえども固定資産会計やらなんやら、金融機関以外から中途で入っても活かせる分野がたくさんあるので。
よほどファイナンスを覚えたい、デリバティブや有価証券に詳しくなりたい、という特別な志がないのなら、後々潰しが効く経理はメーカー経理。
実際、金融機関は中途で他業界から採用するけど、金融機関専門の経理マンが他業界に転職するのは困難。募集要項にわざわざ"一般"事業会社での経理経験、と書いている会社むちゃくちゃ多い。"一般"事業会社には通常金融機関は含まれない。

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