見出し画像

【パチスロ】ジャグラーの設定読みを「条件付き確率」で考察する

はじめに

みなさんスロットにおける設定読みというものをご存知でしょうか?
スロットには1〜6の設定が台ごとに決まっていて、設定6に近いほど当たりやすいということが機械的に決まってます。

以下に例として、私が最近どハマりしているマイジャグラーVの設定と当たり確率の対応表を載せておきます。
BBの確率は設定による差があまりありませんが、RBの確率が設定1と6では全然違うことが分かりますね。
この設定による確率差を利用して、台の設定を予測することを俗に設定読みと呼びます。
○○回転回して○○回RBが当たってるから、設定○っぽいなぁ、と予測する感じです。
ここまではネットで調べればいくらでも出てくるし、スロットを打ってる人なら誰でも知ってることだと思います。

こんな単純な話のどこに条件付き確率とかいうよく分からん言葉が関係してくんねん!!と思う方はぜひ次の2つの例題を考えてみて下さい。



設定読みの例題

【例題1】
A,B2つの台のうち、期待値が高いのはどちらでしょう。
A:2000回転まわっていてRB10回の台
B:1000回転まわっていてRB5回の台


AとBともにRB率は同じですが、感覚的にAの台が良さそうと思う方が多いと思います。
実際その通りで、これは同じRB率なら回転数が多い方がより信頼が置けるからですね。


【例題2】
A,B2つの台のうち、期待値が高いのはどちらでしょう。
A:1000回転まわっていてRB5回の台
B:5000回転まわっていてRB20回の台



こんどはAとBのRB率が違うパターンです。
RB率だけ見れば、Aの方が良さそうに見えますね。
しかし期待値高いのは断然Bの方なんです。
んなわけあるか!!って思いましたか?
実は条件付き確率を理解してれば、Aの方が期待値が高いことは簡単に計算できます。
気になった方はぜひ最後まで読んでみて下さい🙏

条件付き確率について理解してもらうため、まずは簡単な例を考えてみます。

条件付き確率



【例題3】
Aさんはランダムに一枚の硬貨を握り込みました。ではその握り込んだ硬貨が5円玉である確率はどれくらいでしょうか?


日本円じゃない、みたいな引っ掛けはないので安心して下さいね😅
硬貨の種類は1,5,10,50,100,500の計6種類なので、例題1の答えは1/6です。簡単ですね。
あとで使うことになるので、数式での表現にも触れておきます。
5円玉を握り込んでいる確率が1/6というのは次の式で表現できます。

$$
P(x=5円玉)=\frac{1}{6}
$$


【例題4】
Aさんはヒントとして、握り込んだ硬貨には穴が空いていると教えてくれました。ではその握り込んだ硬貨が5円玉である確率はどれくらいでしょうか?


硬貨に穴が空いてるということを教えてもらったので、選択肢は5円or50円の2つに絞り込めました。
ですので当然5円玉である確率は1/2です。
先ほどよりも的中率は上がりました。

例題3と4の決定的な違いは、硬貨に穴が空いているという情報を知っているかどうかでした。
穴が空いているという情報によって、5円玉である確率が上がったと考えることができますね。
このようにある条件(ここでは硬貨に穴が空いているという情報)によって確率が変化したとき、変化後の確率を条件付き確率と言います
条件付き確率の方も数式で表現すると、以下のように書けます。

$$
P(x=5円玉|穴あり)=\frac{1}{2}
$$

$${P(•|•)}$$の左の部分には確率を求めたい事象、右の部分には条件が入ります。

スロットに条件付き確率をあてはめる

考えてみれば当たり前のことですが、この5円玉の例ってスロットでも似たようなこと起きているんです。
設定読みについての話で、「○○回転回して○○回RBが当たってるから、設定○っぽいなぁ」という曖昧なことを書きました。
なぜこのような判断ができるかというと、「回転数とRBの回数」という情報によって、設定の確率が変化しているからなんです。
条件付き確率という言葉を理解していなくても、感覚的に利用していたということですね。

でもこの条件付き確率って、みんなわざわざ計算とかしないですよね?
もし自分だけ厳密に条件付き確率を計算できて、台の期待値を正確に計算できたら絶対勝てると思いませんか?
計算したいと思ってくれた方!!
実際の計算の仕方を伝授させていただきます。
どんどん数学っぽくなってくるので覚悟して下さい…
(計算の中身に興味ない方は次記事で紹介予定のシミュレーションしてみた結果まで読み飛ばしてもらって大丈夫です)


ベイズの定理

$$
P(A_i|B)=\frac{P(B|A_i)P(A_i)}{\Sigma_iP(B|A_i)P(A_i)}
$$

失神しそうになってないですか!?
条件付き確率を考えるためには切っても切り離せない定理なので、気を確かに持って着いてきてください!!
$${A,B}$$には先ほどの例と同様「穴あり」とかの事象が入ります。
添字の$${i}$$は起こりうる事象を全て考えて、それらに名前をつけて区別するためについています。
例えば硬貨の例だったら

$$
A_1=1円玉,
A_2=5円玉,
...,
A_6=500円玉
$$

という感じです。
$${\Sigma_i}$$は$${i=1,2,...}$$の全ての事象について足し合わせることを意味する記号です。


式だけ睨んでもわからないと思うので、例題4をベイズの定理で解いてみましょう。

$$
P(5円玉|穴あり)=\frac{P(穴あり|5円玉)P(5円玉)}{P(穴あり|1円玉)P(1円玉)+...+P(穴あり|500円玉)P(500円玉)}
$$

左辺は「穴が空いているという条件の元で、それが5円玉である確率」という意味なので、例題4と全く同じです。
右辺についても一つずつ分解していきましょう。
まず$${P(1円玉)}$$は何の情報もない状況で硬貨が1円玉である確率なので、例題3でやったように$${P(1円玉)}=\frac{1}{6}}$$です。
同様に5円玉、10円玉、...の時も1/6ですね。

次に$${P(穴あり|1円玉)}$$も考えてみましょう。これは「1円玉であるという条件の元で、それに穴が空いている確率」です。1円玉に穴が空いてるわけないので、当然答えは0です。
一方で$${P(穴あり|5円玉)}$$の方はどうでしょうか?
5円玉には穴が空いていて当然なので、答えは1ですね。
10円玉以降も同様に考えてみて下さい。

最後にこれらの値をベイズの定理に代入してみましょう。

$$
P(5円玉|穴あり)=\frac{1\times \frac{1}{6}}{0\times \frac{1}{6}+1\times \frac{1}{6}+0\times \frac{1}{6}+1\times \frac{1}{6}+0\times \frac{1}{6}+0\times \frac{1}{6}}
=\frac{1}{2}
$$

分母は5円玉と50円玉の部分だけ残り、答えは1/2になりました。例題4と同じ答えが出てきましたね!!


ベイズの定理でスロットの設定を読む

さて、ここまで計算してもうウンザリしてる人もいるでしょう。「いつになったらスロットの話が出てくんねん!?」と。
ご安心ください。
実はここまで計算できた人は、実はもう目の前です。
もう1問だけ付き合って下さい!!


【例題5】
ランダムに1〜6の設定持っているスロット台があります。ヒントとして回転数$${N}$$とRBの回数$${R}$$は分かっています。
ではこの台が設定6である確率はどれくらいでしょう?


ここまで付いてきた方ならお分かりですね。
実は言葉を少し変えてるだけで、例題4と言ってることは全く同じです!!

つまり例題4でやったベイズの定理の、「1円玉〜500円玉」のところを「設定1〜6」に、「穴有り」の部分を「$${N,R}$$」に置き換えるだけです。

$$
P(設定i|N,R)=\frac{P(N,R|設定i)P(設定i)}{P(N,R|設定1)P(設定1)+...+P(N,R|設定6)P(設定6)}
$$

ついにたどり着きました。これこそが回転数とRB回数から設定を予測する最強の公式です!!
ベイズの定理を使って右辺のような複雑な形を作るのは一見無駄なことかと思えるかもしれませんが、実は右辺の式はこれ以上ないくらい便利な形式に置き換わっています。


公式の詳細

右辺をよくよく見ると、$${P(設定〇)}$$と$${P(N,R|設定〇)}$$を組み合わせただけのかたちになっていますね?
$${P(設定〇)}$$は回転数$${N}$$とRB回数$${R}$$は一切関係なく、適当に座った台が設定〇である確率、すなわちホール割(ホールが各設定の台を置いている割合)を意味しています。
$${P(N,R|設定〇)}$$は設定は完全に分かっている状態で回転数が$${N}$$、RB回数が$${R}$$になる確率なので、ホール側が関与する余地は一切なく、メーカーが公表している機械割(各設定のRB当選確率)から厳密に算出できます。つまり「ホール割」と「機械割」がわかっていれば、設定確率は正確に計算できるのです!!
次からは$${P(設定〇)}$$と$${P(N,R|設定〇)}$$についてそれぞれ考えてみましょう。


・ホール割:$${P(設定〇)}$$について
ホール割は結局ホール関係者しかわからないので、これの計算は数学的には不可能です。
とはいえインターネットの海には便利な情報がたくさん落ちてるので、今回はとりあえずこれを参考にさせてもらいましょう。

参考:これが現実! マイジャグラーVの高設定使用率を大公開!!【ホールコンサル営業実録! 第43話】 | パチマガスロマガFREE (maga-free.com)


・機械割:$${P(N,R|設定〇)}$$について
こちらは二項分布という有名なもので、簡単な公式で計算できます。

$$
P(N,R|設定i)=_NC_Rp_i^R(1-p_i)^{N-R}
$$

ここで出てくる$${_NC_R}$$は組み合わせ数の記号ですね。
$${p_i}$$は設定$${i}$$の時にRBが当選する確率です。←パチスロ攻略サイトによく載ってるやつです。

今回はこちらを参考にして$${p_1}$$~$${p_6}$$を決めます。

REGのところが$${p_1}$$~$${p_6}$$に使う数字です

マイジャグラーV(マイジャグ5)パチスロ|設定判別・天井・ゾーン・解析・打ち方・ヤメ時 (dmm.com)


設定読みシミュレーション

ようやく準備が整いました。
これらを使って早速、例題2の状況をシミュレーションしてみましょう!!


A : $${N=1000, R=5}$$の時

回転数1000回,レギュラー5回のとき

青はもともとのホールの設定割合(ホール割)、オレンジは$${N,R}$$の下での条件付き確率です。
RBを結構引いてるので、設定1,2の確率が下がって、設定3,4,5,6の確率は上がっています。
しかしこれでもまだ期待値的にはマイナスのようです。



B : $${N=5000, R=20}$$の時

回転数5000回,レギュラー20回のとき

設定4の確率が大きく伸びました!
RB率はこっちのほうがむしろ低いのに、期待値はプラスです!
回転数の重要性がめちゃくちゃ分かりますね。



C : $${N=7000, R=40}$$の時

回転数7000回,レギュラー40回のとき

もっと極端なパターンです。
ここまでくると設定6の確率が半分くらい占めてますね。


おまけ

仮に計算できたとしても、こんな計算ホールで実際にできるわけねーだろ、と文句言いたい方がいると思いますが、別にホールで計算する必要なんてありません。
私の場合はこんな感じの表を作って、実際にホールで台選びをしております。

表の読み方とか作り方とかは、長くなるので反響があれば記事にしようかと思います。


まとめ

ここまで読んでくださった方、誠にありがとうございました!!
普段からわけわからん事ばっかり考えながらギャンブルしてる人間なんてかなりレアだと思いますが、そういう方に是非刺さってほしいと思い執筆させていただきました。
慣れないことをして疲れたので今回はここで筆をおきますが、もしも反響があれば他のシミュレーションもいろいろやってるので、記事にしようと思っております。
noteのコメント機能は有料会員しか使えないらしく、そんなもん払う金があったらスロットの軍資金に充てたいので、コメントやリクエストはXにて受け付けております
それでは!!よいギャンブルライフを!!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?