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自分を基準にする怖さ

まったくなにもないところから創作するわけではなく、意識しているにしろしていないにしろ元ネタがあるはずです。
登場人物であれば、どこかで会った人、他の創作物で読んだ人を参考にしているはずです(ひとりではなく、複数の人が混じり合っている場合が多いと思います)。
もっとも作家に近い人物、自分を参考にすることもあります。自分丸ごとではなく、自分の一部を借用して登場人物に仕立て上げます。

自分を参考にするのは容易ですが、気をつける必要があると思っています。それは、自分を基準にしてしまう怖さです。
いくら離れようと努力していても、作者自身から逃れることはできません。
考え方もそうですし、性格もそうです。

僕はあまり凹むことがなく、深く悩むこともないです。どんなことがあっても、「まあ、こういうこともあるよね」と客観的に見ているところがあります。心が強いというより、鈍感なだけかもしれません。

少し鈍感な方が生きやすいですが、創作には注意が必要です。自分を基準にしてしまうと、落ち込まない人ばかりが登場する小説になってしまいます。
小説の多くは、登場人物に悩みやコンプレックスがあり、物語の過程でそれを克服する姿が描かれます。それを疑似体験することで、読者は癒されます。
鈍感な人ばかりでは物語に起伏が生まれません。

だから、傷ついている人のための物語を多く読むようにして、自分にはあまりない人格を吸収するようにしています。
たまに、自分とは違う人物に反発しそうになることもありますが、できるだけ理解しようと努めます。

そうやって吸収した人格と自分の性格が混ぜて、登場人物が形成しています。


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