見出し画像

小説のブルーオーシャンを求めて

小説を構想するときに、どういう人に向けて書くのか決めるようにしています。昔は、「自分が好きな小説を書く!」といきがっていましたが、書き続けているうちに「小説は読んでもらうもの」という価値観が強くなっていき、読者を意識するようになってきました。

読者を意識するとき、その読者はどれぐらいいるのかが気になります。例えば、職場の人間関係に疲れた読者を想定すると、かなり多くの人が存在していると思いますが、仕事は満足しているけど何か物足りない人生を送っている人となると、前者より数は少ないように思います。

エンタメ小説でも同じことが言えて、サッカーをテーマにすればサッカーのルールを知っていて興味を持っている人は多いでしょうが、セパタクローの小説を読んでくれる日本人がどれだけいるか未知数です(逆に知らないスポーツだから興味を持ってくれる人もいそうですが)。

当然、興味を持ってくれる人の数によって、本を手に取ってくれる人の数が変わってきます。どの程度のマスをターゲットにしているかで商業出版なら売り上げにダイレクトに影響するわけです。

では、多くの人が興味を持っている話ばかりを書けば良いかとそうでもない気もします。流行りの事柄や話題になっているテーマは、多くの人がすでに書いているので、既存の物語とは異なるものを書くためには、調査と深い考察が必要です。
時間を掛けてようやく完成しても、数多ある小説のうちのひとつにしかならない可能性もあります。

それだったら、誰も描いたことがないような新しいテーマに挑むのもひとつの手法です。その場合、そのブルーオーシャンにどれだけの「魚」がいるかわかりませんが。

魚が豊富なブルーオーシャンを見つけることができれば、しめたものです。先駆者は常に重宝されます。
でも、商品のマーケティングみたいに市場調査すれば見つかるわけでもない気がします。そこには少しばかりの作家なりの直感が大事なんだと思います。
その直感を養うには、視野を広く持ち、インプットを増やして、人々が興味を持っている新鮮な世界を常に求める気持ちが重要なんでしょうね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?