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現象学女子〈8〉生徒会

 金井君は生徒会だ。生徒会長に副会長がいて、金井君は総務という何なのかよくわからん一番下っ端の役職である。 

 それに対して圭ちゃんは何ものでもない。圭ちゃんは優秀な生徒がやる役回りからいつもはずれられる特権のようなものを持っており、金井君はいつもその中にいた。

 学級委員や生徒会と言うのは誰かがやらなければいけない役職で、いわば使いっ走りの側面がありつつ、同時にでは誰でもいいかと言うとそうでもなく、それなりに成績だったり生活態度だったりがいい生徒ではなくてはいけないので、その意味では選ばれた人でもある。

 使いっ走りであれば、劣等感につながり、選ばれた人であれば優越感につながるだろうがその境界はあいまいで、むしろその両方の意味が生徒会には同時に存在しているので、そこがものすごく人間的で好きである。

 なぜ金井君が生徒会なのかがこれでわかる。金井君は成績はそこそこいいし、へらへらしてるからなんかやってくれそうで、逆に言えば圭ちゃんだと完璧すぎるのだ。圭ちゃんがやると使いっ走りの側面が抜け落ちてしまうためみんなの生徒会のイメージからずれてしまうのがなんとなくの同意となって彼はやらないだろうというより彼にやらせたくないのだ。

 会長の鈴木君はものすごく物腰のやわらかい人で、ああ会長だな~て感じの人である。全校生徒の行事とか月曜の全体朝礼の時とかに、会長の仕事としてなんとなくそれっぽいことを言うのが本当にうまい。

 要は「頑張っていきましょう」ってことを季節やら、テスト期間やらに絡めて言っている。
 
 Mr. Big のTo Be With Youを弾きたくてまた弦を張る。本家のポールギルバードはギターソロを全部指弾きでやるが、私は面倒なのでピックで弾く。でも6弦の解放弦のところだけは指でやりたいので、そこだけ指でつまんで矢を放つようにバイ―ンとやる。しかし音楽は近づくと離れて、離れると近づいてくる。もうどうにかならんか。

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