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花火の余韻

人混みが嫌いな僕は
友達に誘われて
祭に来ている

ビールや焼き鳥 焼そばを楽しんだ
祭りのフィナーレの花火が打ち上がる
そろそろ混まないうちに
駅に向かいながら花火が上がるのを待つ

人混みを避けながら前をみたら
昔 好きだった娘が
見知らぬ男と歩いて来る

段々近づいて来て
僕の数センチ横を通り過ぎて行った。


その時 ドーンと音がして
花火が上がった

しかし 数分前までは花火を
見上げる予定だった。
それが 花火を見る気持ちが萎えて
人ごみを避けながら 下を向いて
あの娘に伝えたられなかった
思いを悔やみながら歩いている

花火の ドーン ドーンと響く音が
僕の心を撃ち抜く銃の様に
容赦なく撃ってくる

綺麗な花火の波紋が
赤い血の波紋の様に
僕の心から 温かい熱を奪っていく


暫くして最後の派手な花火が
上がって辺りは 
静かになった


僕には 花火の余韻は無かった

残ったのは あの娘との甘い

思い出と 苦い思いでだけだった


それと 相手の気持が手に取る様に
分かるのに それでも伝えられなかった
自分の気持ち 意気地なしの自分の
後悔だけが残った。


最後に言い残した
「男の気持ちとして受け取とくね」の
意味が 今だに 心に引っかかって
頭から離れない
彼女は あの時
どういう意味で言ったのか
今だに分からない


時に 偶然の出会いは

天国から地獄へと 


いざなうのである







徳永英明/壊れかけのRadio 1990年


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