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女子ゴルフ プロテスト分析

女子プロゴルフは2019年に大きく変わりました。

それまでは、現在の男子プロゴルフ同様に、プロテストはあるもののプロテスト通過していなくてもQT(クオリファイングトーナメント:来季のシード権を保有していない選手が出場し、その出場優先度を争う試合のこと)で来期の試合の出場権を獲得することでツアーで勝負することができていました。

2019年に、「QTの出場資格が、プロテスト合格者・ツアー優勝者・賞金シード対象者に限定」ということになり、それ以前からツアーで活躍していない選手(つまりこれからプロのツアーに出たい選手)はプロテスト合格をしていないとプロの選手としてツアーには出れないことになりました。

2019年以降、「プロゴルファーになりたい」という人は、原則「プロテストに合格する」必要(アマチュアでプロの試合に推薦で出場し優勝し免除者は
除く)が出てきました。

その「女子プロテスト」、
 「合格率約3%、弁護士試験などの国家試験より難しい超狭き門」
などとニュース記事になることもあります。
果たしてこれは正しいのでしょうか。

確かに、合格率で見ると弁護士試験約30%台、公認会計士試験約9%程度と女子プロテストの3%台と比べれば女子プロテストが難しいように見えます。
ただ、弁護士試験などの国家試験と女子プロテストの合格率を比較しても意味はありません。

というのも、弁護士試験などの国家試験は、(弁護士試験の場合詳しくは短答式と論文式に分かれるものの)問題の約70%を正答すれば合格、などと正答率をクリアすることで合格となりますが、女子プロテストは、1次・2次・最終テストと複数回あるものの、最後は、「最終プロテストの上位20位タイまで」と「人数」で決まっています。

弁護士試験は、基準点をクリアすれば合格できるので、多くの人が合格する年もあれば、合格者が少ない年もあります。
それに比べ女子プロテストは、毎年「20人」(20位タイの人まで)と人数が決まっているので、難しいのは間違いないですが、単純に合格率で比較するのはナンセンスです。

20人以内に入らないといけないので、試験に向けて何を準備するか、受験するのか・しないのかの判断基準も他の国家試験とは異なってきます。

ここから「女子プロゴルフで合格するには何が必要か」を検証してみたいと思います。

大きくルールが変わった2019年以降のプロテストの結果を元に検証します。

まずは最終プロテストの結果から。
2019年: 4日間1オーバー 18位タイまでの21人が合格
2020-21年:4日間4オーバー までの21人が合格
2022年:4日間3オーバーまでの20人が合格

この3回の最終プロテストの結果から見ると
 「4日間の大会で、1~4オーバーまでで抑えられる選手が合格ライン」
となります。
プロテストなどの競技の試合であれば最低でも1ラウンド以上の練習ラウンドはしているので、
プロテストに受かるには、
 「練習ラウンドなど下調べしたゴルフ場におけるラウンドにおいて
  1ラウンド平均でイーブンパー、悪くても1オーバー以内
  でないとプロテストには合格できない」

ということが言えます。
確実に合格するには、
 「最終プロテストの合格ラインは平均1日あたりイーブンパー」
が必要になる、ということです。

もちろん、調子が悪い、や、スコアを崩してしまう日がある、というのはプロゴルファーにもあります。それでも、3日間や4日間の平均でイーブンパーが必要になる、ということです。

過去2回のプロテストの1次・2次テストの結果を見てみましょう。
まずは1次テストの結果から。

2020-21 プロテスト
1次: 527人参加、224人通過。
A~E会場の5会場があるため、通過のラインは3日間で4オーバー~9オーバーまで、とバラつきあり。

2022 プロテスト
1次: 558人参加、212人通過。
A~E会場の5会場があるため、通過のラインは3日間で4オーバー~9オーバーまで、とバラつきあり。

この結果から言えることは
 「女子プロテスト1次は、最低でも3日間で9オーバー以内、
  平均1日3オーバー以内でないと通過できない」

ということです。
「最低でも」というのは、「4オーバー」が通過ラインの会場もあるからで、(ほぼ)確実に1次テストを通過するためには
 「3日間で4オーバー以内でラウンドできること」
が求められています。
ただし、これはあくまで1次テストの結果であることを忘れてはいけません。挑戦する選手は、「プロテストに合格すること」が目的なので、このレベルでは足りません。ベストを出してギリギリ通過では次の2次テストで落ちるのはほぼ間違いありません。

1次の結果を見るだけでも、毎年、
 500数十人受けて3日間で10オーバー以上している人が半分以上いる
ことがわかります。
調子が悪かった選手もいるとは思いますが、
 「最終プロテストの合格ラインは1日あたりイーブンパー」
という事実からすると、プロテストの合格ラインをわからずに受験している人が多いのでは、と見えてしまいます。「記念受験のつもりであれば、練習や試合の時間とお金が無駄やめておきなさい」「合格ラインの技術と実績を作ってから受験してください」という人も出てきそうです。

逆に言えば、3日間の試合である1次プロテストでイーブンパー以上で通過しているのは、
 2022年  64人
 2021年  63人
です。
なのに、500数十人受けている1次テスト、ということはいかに合格ラインにはるかに届かない人が受験している試験なのかがわかります。

次に2次テストを見てみます。

2020-21テスト
2次テストから参加の人も77人いるため、301人参加、103人通過。
通過ラインは、4日間でイーブンパー以上(1会場のみ12オーバーあり)です。
イーブンパー以上の人は、計78人。

2022テスト
2次テストから参加の人もいるため299人参加、99人通過。
通過ラインは、4日間で7オーバーまで(1会場のみ3オーバーまで)
イーブンパー以上の人は、計47人。

2次テストの結果から見ても、
 最終プロテストの合格ラインは1日あたりイーブンパー
 それに該当している2次テストの選手は、47~78人
という結果です。

これらからわかることは、
 ・最終プロテストの合格ラインは平均1日あたりイーブンパー
 ・3日間・4日間の試合でイーブンパーが取れる人が受験し競うテスト
 ・現状は合格ラインのイーブンパーが取れない受験者が多すぎるテスト
ということです。

女子プロテストに合格するためには、
 ・4日間の試合でイーブンパーが取れるようになる
 ・(調子のバラツキあるので)1ラウンド68~76が出せ、平均72にする
ことが必要になります。

そこから逆算して、
 ・良いときに68以下を出せるか
 ・悪いときでも76以下に抑えられるか
 ・調子が普通のときで72で回れるか
が基準であり、
 ・そのために何をすべきか
  (長所を伸ばし・短所を克服するには何をするべきか)
を各選手(挑戦者)が考え練習し、
 2回目以上のコースで連続してプレーし平均72が出せるなら
 プロテストにチャレンジすればよい
のです。

「何をすべきか」は、選手それぞれに特徴があるので、
 飛距離が出るがスコアが出ない人は、グリーン周り・グリーン上の技術、
 飛距離が普通の人は苦手なところの練習、マネジメント技術
など、各選手が考える必要があります。

ゴルフは、「スタッツ(統計)のスポーツ」と言われるほど、
 ・パーオン率が1~2割違うと大きく違う
 ・フェアウェイキープ率が1~2割違うと大きく違う
 ・平均パット数が1~2割違うと大きく違う
など社会人アマチュアゴルファーからしたら紙一重の世界です。

女子プロゴルファー100位程度の具体的な数値でいえば、
 ・パーオン率は56.8%以上(18ホールでは11ホール以上)
 ・フェアウェイキープ率は50%以上(18ホールでは9ホール以上)
 ・リカバリー率は50%以上(パーオンしない時にパー以上とる半分以上)
 ・パーブレイク率は11.8%以上(18ホールでは2.2個以上のバーディ)
 ・1ラウンドの平均パット数は31未満(6個の1パット、12個の2パット)
などです。

プロテスト合格したらこの世界で勝負することになるので、
プロテストにチャレンジするためのレベル感として、
 ・18ホール中12ホールはパーオンする
 ・パーオンした12ホールのうち2-3ホールはバーディを取る
 ・パーオンしない残り6ホールの3-4ホールはパーセーブする。
 ・パット数は31以下に抑える(できれば30パット以下)
 ・ボギーは2-3ホールまで。
のレベルが練習ラウンドしたコースでスコアメイクできるか、です。
これで、イーブンパー前後(1オーバー・1アンダー含)です。

「プロテストを目指す」は「プロテストを受験することを目指す」のではなく「プロテストに通過することを目指す」です。
プロテスト通過のためには、必要なレベルがあります。
プロテスト受験される選手の方はこの基準を頭に入れていただき、がんばって日々のトレーニング・練習に励んで頂きたいと思います。
未来のプロゴルファーを目指している選手を応援しています。






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