風船にのったナメクジのお話
(子供向けの絵本を書いてみました。初挑戦です。
小さい子には難しい漢字も使っていますが、ご了承ください)
「もぐもぐ むしゃむしゃ 美味しいな、このイチゴ。
ぼくの名前は『かんた』漢字で書くと『乾太』見ての通りのナメクジ。
この名前、誰がつけてくれたかはわからないけど、けっこう気に入っている。
でも、なぜ乾太なのかな?
ぼくの体は水でブヨブヨなのに乾(かわ)いているだなんて、自分でもおかしくなる。
でも、とても幸せ。
何故かというと、まいにち美味しいイチゴを食べられるんだもんね。
赤く甘いイチゴは大好き」
「あれ、あれは何だろう?」
いつものように乾太が美味しいイチゴをさがして、イチゴ畑をさまよっていると目の前にとても大きな丸いものがありました。しかも真っ赤です。
「すごい。あんな大きなイチゴを見たことがない。美味しそうだな。さっそく食べてみることにしよう」
乾太はこの大きなイチゴにのってみました。
「このイチゴ、ふかふかしているな、でも何か変だぞ。あれ?動いている。ワア~」
乾太がイチゴと思ったのは、イチゴではなく風船だったのです。この風船は乾太をのせたまま、お空にむかって、どんどん上っていきます。
気がつけばお空の上。遠くには山、下には森や川が見えます。
「わあ、すごいな、きれいだな。こんな景色見るの初めて。いつもは草と土しか見えないから、お空の上がこんなにきれいだなんて知らなかった」
乾太は初めて見る景色の美しさにおどろきました。
「いつまで見ていても飽きないな。こんな景色を毎日見られる鳥さんがうらやましいな」
「カア~カア~」すぐ近くで鳴き声が聞こえました。
「あ、カラスさんだ。こんにちは」
でも、カラスは大きな風船をつんつんと突いてきます。
「カラスさん、やめて!」
パンッ!と大きな音がして風船は割れてしまいました。
「わあ、助けて~落ちる」
乾太がのった風船は勢いよく落ちていきました。
ドボン!
風船は乾太をのせたまま川に落ちました。そして、どんどん流されていきます。
「ぼくはどうなってしまうんだろう。誰か助けて~」
乾太がいくら叫んでも誰も助けてはくれません。
そのときです。川のそばに伸びていた小枝に風船が引っかかりました。
「ふう~助かった」
乾太は枝をつたわって川辺に出ることができました。
「ここはどこだろう。どうしたらお家に帰れるのかな」
乾太はお家の方向がわからないまま進んで行きました。すると畑の中に緑色の丸いものがあるではありませんか。
「あれは緑色のイチゴに違いないぞ」
よく見ると、そのイチゴの上には虫さんがいます。
「虫さん、こんにちは。そのイチゴ美味しいですか?」
「こんにちはナメクジさん。これはイチゴではないよ。キャベツというのだよ。とても甘くて栄養のある野菜なんだよ」
乾太はイチゴ以外に美味しいものがあることを初めて知ったのです。
「このキャベツという野菜、本当に美味しいね、虫さん」
「そうだろう。他にもいっぱいあるよ。ニンジンとかピーマンとか、ほうれん草とかいろいろあるよ。とても美味しくて栄養たっぷりなんだよ。たくさん食べると体も大きくなれるんだよ」
「それ、すごいね」
「ところで、ナメクジさんはどこから来たの?」
「ぼくはイチゴ畑に住んでいたんだけれど、風船にのってお空に飛んで行ったら、お家がわからなくなっちゃった」
「ナメクジさん、イチゴ畑だったら、むこうにあるよ」
「えっ?」
乾太が言われた方向を見るとイチゴ畑があるではありませんか。風船で遠くに飛んで行ってしまいましたが、川に流されたことで、お家の近くに帰ってきていたのでした。
「本当だ。ぼくのお家があるイチゴ畑だ。帰ってきたんだ」
乾太は急いでイチゴ畑に向かいました。
こうして乾太はお家に帰ることができました。
そして、思いました。
「お空から見た景色はきれいだったな。もう一度行ってみたいな。そうしたら、今度はニンジンとかピーマンとか食べてみたいな。きっと美味しいんだろうな」
乾太はとても幸せな気持になりました。 おしまい
私が書く文章は、自分の体験談だったり、完全な創作だったり、また、文章体も記事内容によって変わります。文法メチャメチャですので、読みづらいこともあると思いますが、お許し下さい。暇つぶし程度にお読み下さい。今後とも、よろしくお願いいたします。