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組合せの妙で大きな効果

JPR、キユーピー、サンスター


 この3社はあまり関連性がないように見えるかもしれませんが、実は共同で物流を行い、大きな成果をあげています。
 「JPR」は、日本パレットレンタル株式会社の略称です。あとの2社はよくご存じでしょう。今回は、この3社による共同物流の効果についてお知らせしたいと思います。

共同で取り組むことで単独行動を凌駕する

 キユーピーもサンスターも物流への危機感を持ち、既に様々な取組みを行ってきている物流先進企業です。しかし、「1社ではここまでしかできない」という限界があります。
 たとえばキユーピーの貨物は「重量勝ち」。重量勝ちとは、重さと大きさを比べた時に「重さのほうが勝つ」、「大きさの割に重め」という意味です。積載可能量一杯に積んでも、車両には隙間が空きます。
 一方、サンスターの貨物は「容積勝ち」。重量勝ちの反対の意味になり、車両一杯に積んで満杯に見えても重量的には余裕があります。
 両社はそれぞれほぼ「積載率100%」だったわけですが、これでは満足せず、さらに工夫を考えた結果、両者の貨物を混載することによって重量的にも容積的にも100%に近づけることに成功しました。

1社の貨物では、これ以上は積めない。
資料:国土交通省


「届けたら帰りはカラ」ではもったいない

 トラックに満載で出発しても、届けた後、カラになって同じ道を戻ってくるのは、やはりもったいない状態です。
 キユーピーとサンスターは関西に工場があり、九州に製品を届けた後の帰り荷がなく、非効率になっていました。
 ところで、JPRのデポが九州にありました。パレットというのは、メーカーの工場から製品をパレットに乗せて出荷され、届けた先で保管に使われることもありますが、構内用パレットに積み替えられれば不要になります。または保管用に使われた後、出荷の際に積み替えられて不要になります。つまり、工場からの届け先にはパレットが大量に集積し、メーカーの工場周辺に戻ってくる物流があるのです。
 関西から九州へはキユーピーとサンスターが同じ車両で製品を輸送し、九州から関西へはパレットを輸送し、長距離輸送には船舶を利用することにより、大きな効果を上げることができました。

実車率99%、ドライバー運転時間も大幅に削減


 車両がカラで走る区間は総走行距離1165㎞のうち、わずか7km(実車率99%!)。ドライバーの運転時間は年間で2256時間も短縮されました。
 この事例は、平成元年度グリーン物流パートナーシップ会議において「国土交通省 公共交通・物流政策 審議官表彰」を受賞しています。

 



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