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アーマッド・ジャマル死去

 アーマッド・ジャマルの訃報に接して、自分の上っ面なジャズ史知識でお茶を濁すようなことはやっぱり言う気にならないし、それよりはもうちょっとだけ、ジャマルの演奏は私の内側に食い込む形で鳴っていたことに改めて思い至っている。

 自分にとってのジャマルはと考えていて、迷った末に選んだのは、やっぱりこのアルバムだった。まだジャズの知識がほとんどなかった大学生の時分、通っていた大学の通学路になっていた高田馬場にあったレコード店「ムトウ」の、半地下みたいな妙な間取りのジャズコーナーで、これがかかっていたのを聴いた……んだと思う。もう随分昔のことで、細部が曖昧な記憶になりつつあるけれど、鳴っている音楽にはいささかの曖昧さもない。ピアノが先導したフレーズをベースが覆いかぶさるように追いかけ、最後にドラムが参列したときには、もう完璧にくっきりした輪郭の気分が、そこに立ち上がっている。

 R.I.P.

アーマッド・ジャマル・トリオ『ジ・アウェイクニング』/〝Wave〟
https://music.apple.com/jp/album/ウェイヴ/1443878957?i=1443879146

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